北斗星(8月12日付)

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 山歩きをしていると、登山道があるのは当たり前だと思ってしまう。むろん実際はそうではない。人があまり歩かなくなった道が深いやぶに戻るのに、そう長い歳月はかからない。自然の回復力には驚かされる

▼秋田市の太平山を縦走する中岳―剣岳コースは今でこそ歩きやすく刈り払いされているが、数年前まではやぶが深くて登山者はまれだった。距離が長くて起伏が多いため敬遠されていたのが、やぶになってなおさら人が減ったのだろう

▼この縦走路は麓の仁別や木曽石などの集落から太平山の最高峰奥岳に至る道。奥岳に鎮座する太平山三吉神社奥宮に参拝するため、先人が苦心して切り開いた貴重な遺産でもある。以前から廃道になることを憂える声が上がっていた

▼県がやぶを刈り払ったのは一昨年。登山道が利用しやすくなった記念に標柱の設置を計画した。登山関係者に呼び掛けたところ、秋田北高校登山部、日本山岳会秋田支部などがボランティアで取り組んでくれた

▼県は2016年度から各地の登山道を整備。毎年5カ所程度でやぶの刈り払いだけでなく、避難小屋の塗装や木道補修などを行っている。いずれも地元の高校山岳部と社会人山岳会が手弁当で協力している

▼市民が実質主体で山を維持管理する取り組みは心強い限り。ボランティアがさらに増えれば、県内の山の魅力が一層増す。廃道となった登山道の復活や新しい道の開拓が進むことを夢想する。これは無い物ねだりが過ぎるか。

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