社説:国内感染者5万人 対策の再構築が必要だ

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 国内の新型コロナウイルス感染者が累計5万人を超えた。今月3日に4万人を超えて以降、わずか1週間で約1万人増えたことになる。今月に入ってからは1日の新規感染者が1500人を超える日が複数あった。

 こうした緊迫した状況をどうみるか。医療体制について政府は「逼迫(ひっぱく)していない」との認識のようだ。4月の緊急事態宣言発令時に比べ、重症者や死亡者の数が大幅に抑えられていることが理由だ。緊急事態宣言の再発令も否定している。

 緊急事態宣言下の4月、病床使用率は8都府県で8割を超えていた。これに対して今月4日時点で4割を超えたのが5都県。このうち沖縄だけ8割超と突出している。37都道県の使用率は1週間前よりも上昇した。

 病床確保が急務となる一方、患者数増加で医療従事者らは心身とも大きなストレスを抱えて対応しなければならず、疲弊しているのが現実だ。この状況で医療体制に余力があるとは到底言えないだろう。

 特に気を付けなければならないのは、地方は重症化しやすい高齢者が多く、大都市圏に比べて医療体制が手薄なことだ。対策の手を緩めれば感染者の増加ペースは一気に加速しかねない。決して医療崩壊に至ることがないよう、政府と自治体、医療機関は緊密に連携を取り、先手先手で対策を講じるべきだ。

 ただし病床確保は救急医療やがん治療、手術など通常の医療との両立が前提となることを忘れてはならない。通常の医療を損なうことがないよう細心の注意を払い、バランスを取りながら病床を確保する必要がある。

 政府の対応は後手に回っているのではないか。政府の新型コロナ分科会は今月7日、都道府県が対策を強化する際の6指標と感染状況を分類する4ステージを発表。だが独自の緊急事態宣言などを出した自治体が相次いだ後だったため、対応が遅過ぎると批判が出た。コロナは感染状況の変化が急速で対応が難しく、当然の指摘だろう。

 6指標は病床の逼迫具合やPCR検査の陽性率など。ステージ1~4の各段階に応じて指標の数値が定められ、ステージで取るべき対策を示す。分科会は指標のいくつが当てはまればそのステージに該当するかといった基準は示さず、「都道府県の総合判断」に任せた。全国共通の指標を作りながら自治体に判断を「丸投げ」するような対応で、本当にコロナを抑え込むことができるのか疑問だ。

 感染が再拡大し続ける状況にもかかわらず、経済再生を重視する安倍政権は政府の観光支援事業「Go To トラベル」を継続する考えを示した。だが世論調査では、経済よりも「健康を優先すべき」との回答が8割超、帰省や旅行をしたいと「思わない」も5割以上に達した。安倍政権は自治体、国民の声と真摯(しんし)に向き合い、感染防止対策を早急に再構築すべきだ。

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