社説:横手の農業産出額 「複合」強化し上積みを

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 横手市の農業産出額が5年連続で県内トップとなった。直近の2018年は295億8千万円とこれまでで最多。現在の推計方法で農林水産省が市町村別の発表を始めた14年以降、2割の伸びを見せた。地域に根付いた複合部門をさらに強化し、産出額上積みを目指してほしい。

 産出額を部門別に見ると、コメは130億4千万円と大仙市の153億円に次いで2位だったものの、野菜、果実、花卉(かき)、畜産の主要部門ではいずれもトップ。県全体のコメの比率が56・2%を占めているのに対し、横手市は44・1%とバランスの良さが際立つ。

 コメ依存型からの脱却が本県農業の課題と言われて久しいが、まだ道半ばと言わざるを得ない。ただ、適地適作の推進と稲作による農地保全という双方の観点から、コメが本県の基幹作物であることに変わりはない。県は現状通りのコメ生産を維持しながら、野菜や畜産を伸ばしていく方針だ。

 横手市の18年のコメ産出額は14年に比べ3割以上伸びた。地元のJA秋田ふるさとが卸、小売業者との事前協議で、一定量の販路を確保していることなどが大きい。

 売り先を決めた上で稲作を守りつつ、複合部門も好調な同市の取り組みは、本県農業が目指すべきモデルと言えるだろう。農作物は天候や市場動向によって価格が大きく変動するだけに、多品目の生産は経営のリスク分散を図る上でも極めて重要である。

 同市は規模の大小にかかわらず、市内農家に対する独自支援策を実施。アスパラガス、キュウリ、スイカ、トマトの市の戦略4品目をはじめ、果樹、野菜の生産拡大に向けた補助などメニューは17に及ぶ。国、県の支援は法人や認定農業者に厚くなりがちなことから、小規模な生産者をフォローするのが狙いだ。同市の産出額の伸びは、こうしたきめ細かな支援で多様な生産者を後押しした結果だ。

 関係機関の協力体制が整っていることも強みである。同市の農林部門は県平鹿地域振興局の庁舎3階に入居。「ワンフロア化」により、県とのスムーズな連携を実現している。さらにJA秋田ふるさととは園芸作物振興に関する連携協定を締結、野菜の種苗供給や担い手の育成を共に進めている。今後も関係機関が一丸となって、生産者を支えてほしい。

 同市は県内一の産出額を誇るが、東北で5位、全国では31位にとどまる。県内の他市町村と同様、農地の減少や生産者の高齢化が進んでおり、農地の集積、集約による規模拡大と農作業の効率化は今後も必要だ。

 高付加価値の作物の選定・普及、情報通信技術(ICT)を活用したスマート農業の取り組みなどをさらに進め、基幹産業の農業をもり立ててもらいたい。それが担い手確保にもつながるはずだ。

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