社説:GDP戦後最悪 消費回復、鍵は感染対策

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 今年4~6月期の実質国内総生産(GDP)速報値が年率換算で27・8%の大幅減となった。新型コロナウイルスの影響で個人消費が激減したことなどが要因だ。リーマン・ショック後の2009年1~3月期の年率17・8%減を超え、戦後最悪のマイナスとなった。

 政府が4~5月に全国に緊急事態宣言を出し経済活動が停滞に見舞われた。その反動で7~9月期はプラス成長が見込まれる。新型コロナ感染は再拡大しており、状況次第ではさらなる景気悪化も懸念される。政府は雇用と企業業績などの先行きに十分警戒しなければならない。

 マイナス成長は消費税率が10%に増税された19年10~12月期から3四半期連続。個人消費は前期比8・2%減だった。外出の自粛、営業時間短縮や休業などのため、旅行やレジャー、外食などの需要が減り、サービス業が幅広くマイナスとなった。

 各国でロックダウン(都市封鎖)が行われたため、輸出も18・5%減となった。自動車が大幅に減った他、訪日客による観光需要の減少も大きかった。

 実質GDPが大きく落ち込んだのは日本だけではない。米国は年率32・9%減、ユーロ圏19カ国では40・3%減と、いずれも記録的なマイナスとなった。

 日本の経済再生の鍵を握るのがGDPの過半を占める個人消費だ。政府は7月下旬以降、観光支援事業「Go To トラベル」を推進している。だが消費者には感染再拡大への警戒感が根強く、県境を越えた旅行などには消極的なのが現状だ。

 観光関連事業者への支援の必要性は言うまでもない。しかし感染拡大のさなかに事業を実施したのが適切だったか疑問が残る。政府は感染者が特に多かった東京発着の旅行だけを支援対象から除外したが、他地域に除外対象を広げる必要はないかなど、なお検討すべき点は多い。

 政府は収入が半減した中小企業に最大200万円を支給する「持続化給付金」について、さらに80万件程度の申請が見込まれるとして、予備費から追加支出することを決めた。

 コロナで収入が減った世帯に対象を拡大した「緊急小口資金」など特例貸し付けにも予備費を支出する。これらの予算は計1兆1千億円余。無駄な支出を排しながら企業や個人の支援に迅速に対応してほしい。

 感染再拡大は既に、春先の「第1波」を上回る勢いで続いている。専門家の中には秋以降に「第2波」が来ると指摘する声もある。ワクチンや治療薬の開発が進められているが、実用化の時期はまだ明らかではない。

 個人消費を回復に向かわせるためには万全な医療体制を構築し、消費者の感染への不安を和らげることが必要だ。コロナ対策が長期に及ぶことは避けられないとしても、再び緊急事態宣言を出す事態にならぬよう、社会経済活動を持続できる範囲に感染を抑え込むことが肝心だ。

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