社説:首相、連続在職最長 コロナ対策に全力注げ

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 安倍晋三首相は第2次内閣発足からの連続在職日数が歴代最長となった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の事態に直面し、対応は迷走。首相自身の健康不安説も浮上している。

 安倍首相は自らの任期中に憲法9条改正を実現したいと意欲を見せてきたが、世論の幅広い支持を得ているとは言い難い。コロナ禍への対応を最優先課題とし、全力を注ぐべきだ。

 最長政権となった理由として大規模な金融緩和などによる経済政策アベノミクスが挙げられる。1万円を割り込んでいた株価が2万円台を回復し、有効求人倍率が1倍を大きく超えるなど、経済指標が好転。長く日本経済を覆った閉塞(へいそく)感が取り除かれた意義は大きい。

 野党が離合集散を繰り返してばらばらになり、政権交代を狙える状況になかったこともある。衆参両院選挙で勝ち続けたことで、安倍首相の求心力は一層高まった。しかし、ここに来て「安倍1強」体制が揺らいでいるとの指摘が出ている。

 今年に入って新型コロナの感染が拡大。外出やイベントの自粛、企業の休業などが全国に広がった。4月には緊急事態宣言も出され、経済活動は大きく停滞。4~6月期の国内総生産(GDP)は戦後最悪のマイナス成長に陥った。

 新型コロナへの政府対応は迷走を繰り返した。減収世帯に30万円を給付する案が閣議決定後に覆り、一転して全国民1人当たり10万円の給付となった。観光支援事業「Go To トラベル」では実施直前に東京発着の旅行を支援対象から外すなどして混乱が広がった。一連の動きから経済優先の姿勢はうかがえても、感染拡大をどう防ぐのか、納得できる対策が見えないのも気掛かりだ。

 最近の安倍首相は記者会見をほとんど開かず、開いても自分の言いたいことを一方的に発言することが多い。新型コロナ対策を議論するため野党が要求する臨時国会召集にも応じる姿勢を見せない。首相が明確なメッセージを発することなしに国民の信頼を得られるはずはない。

 安倍政権はこれまでも国会軽視の姿勢が目立ち、特定秘密保護法、安全保障法制などで数の力で採決を強行。首相は森友、加計学園や「桜を見る会」などの問題で、野党の追及に十分答えてこなかった。そんな政治姿勢を改める必要がある。

 安倍首相の自民党総裁任期は来年9月までの1年余。首相は9条に自衛隊を明記する憲法改正を自らの政治的遺産(レガシー)としたい意欲を示してきた。だが国会での憲法論議は進展がなく、世論調査でも改憲への国民の支持は高まっていない。

 今取り組むべきは、新型コロナの感染拡大に歯止めをかけ、雇用や企業経営を守ることだ。コロナ禍を乗り越えられれば、これに勝るレガシーはないと心得るべきだ。

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