社説:アンテナショップ 地道にファン増やそう

お気に入りに登録

 地元の特産品を売り込むため自治体が東京都内に開設するアンテナショップが増えている。土産物販売などを通じて地方の魅力を広く発信する拠点として注目度が高まっており、さらなる活況が期待できそうだ。

 一般財団法人・地域活性化センター(東京)によると、都内の自治体アンテナショップは1990年代は1桁だったが、2000年代に入って増え続け、昨年4月現在でコンビニへの併設店などを除く独立店舗は60を数える。飲食スペースを備え、その場で郷土料理が味わえる店も少なくない。首都圏にいながら、さまざまな地方の味を堪能できるのは大きな魅力である。各自治体が競い合い、地方全体の魅力向上につなげたい。

 08年にJR品川駅近くに開業した「あきた美彩館」は、県が業者に委託して運営している秋田のアンテナショップ。物販スペースには菓子や漬物が並び、地酒コーナーも。飲食スペースではきりたんぽや稲庭うどんのほか、ジュンサイ、ハタハタなどの料理が楽しめる。売上高は15年度に初めて3億円の大台を突破し、以来3億円台を維持している。

 だが本年度は新型コロナウイルスの影響で、4月から5月にかけて営業休止に追い込まれた。集客を図るためのイベントは中止となり、再開後も時短営業を余儀なくされるなど平常通りとはいかず、苦戦が続く。都内で新型コロナ感染が収まらない状況を踏まえれば、やむを得ない。換気の徹底など「3密」(密閉、密集、密接)を回避する対策に力を注ぎ、安心して買い物や食事を楽しんでもらうよう努めることが重要だ。

 こんな時だからこそ、アンテナショップに足を運ぶという人もいる。地方の土産物を購入することで、ちょっとした観光気分を味わえるからだ。そうした需要があることも踏まえて心のこもった接客に努め、地道にファンを獲得していくことが求められる。

 ネット販売にも目を向けたい。あきた美彩館はオンラインショップを12年度から行っており、売り上げは徐々にアップしているが、伸びしろはまだあるはずだ。消費者の好みを的確に捉え、品ぞろえを一層充実させたい。会員制交流サイト(SNS)を活用したPRの強化なども必要だろう。

 有楽町には県物産振興会が運営するアンテナショップ「秋田ふるさと館」がある。飲食スペースはないものの、土産物を豊富にそろえており、売上高は2億円ほどに達する。都心の繁華街に立地する好条件を生かして集客を図り、あきた美彩館とともに、秋田産品の売り込みに力を尽くしてほしい。

 大切なのは、秋田の魅力をいかに発信するかだ。コロナ禍の今は足を運びにくいが、収束したら秋田へ旅行に出掛けたい。そう思う人を一人でも二人でも増やしたい。

秋田の最新ニュース