社説:県内氷河期世代 官民挙げて就労支援を

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 秋田労働局が主導する組織「あきた就職氷河期世代活躍支援プラットフォーム(PF)」は、バブル経済崩壊後の就職難に遭った「就職氷河期世代」の正規雇用を県内で3千人増やす目標を決めた。期間は2022年度までの3年間。達成に向け、官民を挙げて取り組みたい。

 氷河期世代は1990年代半ばから約10年の間に大学や高校を卒業した人たちで、現在は30代半ばから40代半ば。当時、企業が新卒採用を大幅に絞り込んだため、非正規雇用で働かざるを得ない人が続出した。

 総務省の2017年調査によると県内の35~44歳(11万5900人)のうち、不本意ながら不安定な仕事に就いている人は推計で5200人(4・5%)に上る。この比率は全国で最も高い。活力ある社会の維持や将来の社会保障費の抑制を考えれば、この世代の正規雇用増を推進することは、当事者だけでなく社会全体の問題といえる。

 就職を希望しながら長期間仕事に就いていない人もPFの支援対象で、県内に約2700人いるとみられる。このほか、人数は推計できていないが、ひきこもりの人なども対象にする。

 ひきこもりが長期化し、親が80代、本人が50代で生活に困窮する「8050問題」が注目されている。全国では中高年(40~64歳)のひきこもりが若年層(15~39歳)を上回ったとの推計もある。全県的な実態調査をした上で、各種団体と連携しつつ正規雇用による社会参画を段階的に促していく必要がある。

 国が昨年から氷河期世代支援に乗り出した背景には、多くの企業が人手不足に頭を悩ませ、採用・就職が「売り手市場」になっている状況があった。ただ現在は、新型コロナウイルス感染症の流行で経済の先行きに不透明感があり、採用に慎重姿勢を示す企業も出てきている。

 PFの支援事業計画に対し、ある経済団体から「新型コロナの影響で景気が悪化する中、正規雇用者には即戦力になってほしい」との声が上がった。本人の希望と職場とのマッチングを図るとともに、資格取得や職業訓練に手厚い支援が望まれる。

 省庁や自治体は氷河期世代の採用活動を始めたが、目標達成の鍵を握るのは民間企業だ。政府は採用に積極的な企業への助成金を拡充した。さらに、年齢を制限した採用活動はこれまで原則禁止だったが、氷河期世代に限り全面解禁し、民間の就職サイトや企業が手掛ける募集でも可能になった。こうした制度変更は企業側に十分届いていないとみられ、PF会議では経済団体が秋田労働局に周知徹底を求めた。情報発信にもっと力を入れなければならない。

 氷河期世代の多くが非正規雇用で働いているのは、個人の責任とは言い難い。50代を迎えようとしている人もおり、「年齢的に正社員への最後のチャンスになる」との声が当事者から上がっている。支援を急ぎたい。

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