社説:総裁選3氏名乗り コロナや経済、政策競え

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 安倍晋三首相の突然の退陣表明を受け、後継を決める自民党総裁選の候補者の顔触れがほぼ固まった。14日の両院議員総会までの短期決戦となる。

 新型コロナウイルス対策をはじめ、課題は山積している。7年8カ月に及んだ安倍政権をどう総括した上で何を継承し、何を刷新していくのか。党として政策を巡り討論する場を設け、国民の信頼を得られる人物を選出するべきだ。

 出馬表明したのは岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長、菅義偉官房長官の3人。党内5派閥は菅氏の表明を待たずに早々と支持を決定。派閥の所属議員数からすれば、菅氏が圧倒的に優勢とみられる。

 自民総裁には確実に次期首相の椅子が待っている。自民がどんな人物を、どのようにして選ぶかは広く国民にとっても大きな関心事だ。3氏が討論を通じて今後の日本の進むべき道を示すことは欠かせない。

 出馬表明で岸田氏はアベノミクスについて「成長の果実が中間層や中小企業、地方に分配されていない」と発言。石破氏は「国民の納得と共感を得て、政府を謙虚に機能させる」などと決意を述べた。菅氏は「安倍政権の取り組みをしっかり継承し、前に進めたい」とした。

 岸田、石破両氏の発言は「1強政治」のおごりや緩みを批判される安倍政権の政策の継承を訴える菅氏と一線を画す思惑がのぞく。菅氏との違いをどこまで打ち出せるか注目される。

 政府は今冬の新型コロナとインフルエンザの同時流行に備えた対策パッケージを公表。無症状者や軽症者にも入院勧告している感染症法の運用見直しについては全国知事会が懸念を示している。3氏はそうした声にどう応えるか明確にするべきだ。

 安倍首相は2月末、専門家会議に諮らずに一斉休校を全国に要請するなど、独断専行や迷走が目立った。6月中旬の国会閉幕後は官邸での記者会見を避け、最前線に立つリーダーとしての姿が見えなくなった。3氏は今後のコロナ対策で、どのようにリーダーシップを発揮するか明らかにする必要がある。

 アベノミクスは大胆な金融緩和などにより大企業や富裕層に恩恵をもたらした。しかし、多くの国民に景気回復の実感は乏しい。コロナ禍の影響で4~6月期の実質国内総生産が年率換算で戦後最悪のマイナス成長となった。どのようにしてこの困難を乗り越えるか、経済政策を競うことが求められる。

 安倍政権下では森友、加計学園問題や首相主催の桜を見る会を巡る疑惑の真相解明が十分に進まなかった。東京一極集中からの脱却と地方創生、少子高齢化対策、北方領土や北朝鮮の拉致問題などにどう取り組むかも重要な争点となる。憲法改正への姿勢も問われる。山積する諸課題への姿勢が不透明なまま、派閥の数の論理だけで次期総裁を決めてはならない。

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