社説:コロナパッケージ 地域実態に即し運用を

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 政府が新型コロナウイルス対策パッケージをまとめた。今冬の新型コロナとインフルエンザの同時流行に備えた新たな対策となる。

 注目されるのは新型コロナの無症状者や軽症者への対応を見直すことだ。従来は感染症法の運用で入院を勧告。その要件を緩和し、自宅やホテルなど宿泊施設での療養を基本とする。医療機関や保健所の負担を減らし、限られた医療資源を重症者に振り向けるのが狙いだ。

 重症者を救うため、この見直しには確かに一定の合理性がある。ただし、問題があることも指摘しなければならない。

 看護師らが常駐する宿泊施設とは違い、自宅療養は容体が急変した場合、対応が間に合わなくなる恐れがあるからだ。実際に埼玉県では4月、軽症とされた感染者2人が自宅待機中、容体が悪化して相次ぎ死亡した。

 さらに、無断外出したりして感染を拡大させるという可能性も否定できない。つまり、自宅という環境ではしっかりと管理するのが難しいということだ。インフルエンザとの同時流行をにらんだ対策と言いながら、このままでは不安が拭えない。

 地方からは批判や疑問の声が上がる。石川県は自宅療養の実施を否定。比較的感染者が少なく、病床や宿泊施設を確保している自治体では、入院による患者隔離の方が感染拡大封じ込めに効果があるとの指摘もある。

 政府は自宅療養の問題点を精査するとともに、大都市圏と地方の双方の声をよく聴き、実態に即した弾力的な運用にすべきだ。全国一律の運用は感染を拡大させかねない。

 さらにコロナ対策パッケージでは、簡易キットにより1日20万件の検査体制を整備する。一人でも多くの感染者を広範囲に早く見つけるため、体制を拡充することに異論はない。

 問題は、インフルエンザ患者とコロナ患者を症状だけで見分けるのがそう簡単ではないことだ。日本感染症学会は可能な限りコロナ、インフルエンザの両方の検査をするように求める。

 その際、通常の診療との両立が求められ、現場の負担が増加する恐れがある。政府は今後、地域の診療所などが連携して発熱患者を検査、診療する体制を整備するよう都道府県に通知する方針だ。診療所の感染症対策や人員確保などの問題もあるだけに、どこまで可能なのか。政府は自治体との連携を密にして課題を洗い出し、先手先手で対策を講じなければならない。

 厚生労働省専門家組織の最近の分析では、国内の感染者は緩やかに減少し始めており、致死率は低下。軽症者が多くなり、治療法も改善したためとみられる。ただ感染状況には地域差もあり、依然油断はできない。

 企業経営や雇用を守るため経済再生はもちろん重要だ。そのためには、十分な感染対策が講じられていることが大前提であることを忘れてはならない。

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