社説:湯沢の投票所半減 棄権防止対策が急務だ

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 湯沢市選挙管理委員会が、選挙投票日に設ける投票所数をほぼ半減することに決めた。新たな投票区の選挙人名簿整備などを経て、12月1日以降に告示、公示される選挙から適用。現在の61カ所から28カ所となる。慣れ親しんだ地域の投票所がなくなり投票率の低下につながる恐れがあるため、投票しやすい環境の整備が急務だ。

 2005年の市町村合併時の市内投票所数は66カ所。旧4市町村の投票所全てを引き継いだ。08年の再編論議の際は「時期尚早」と判断。その後は駐車場が遠かったり、バリアフリー対応でなかったりした一部を除き投票所を維持してきた。だが合併当時に平均713人だった1投票区当たりの有権者数は今月1日時点で637人に減少。100人に満たない所もある。

 人口減少や高齢化の影響もあり、投票所の投票管理者や投票立会人を確保するのも年々難しくなっている。投票所を確実かつ効率的に運営するため、再編はやむを得ない面がある。

 しかし投票所削減により、棄権が増えるようなことがあってはならない。市選管は、バスの車内で投票できる「移動期日前投票所」や期間限定の期日前投票所の開設、タクシーやバスによる移動支援などを検討しているという。投票しやすい支援策を打ち出し、有権者にしっかりと説明してほしい。

 昨年7月の参院選では市内投票者の53%が期日前投票所に足を運んだ。その割合は増加しており、市選管はこの投票行動の変化を削減理由の一つに挙げる。ただし、投票日に投票所で投票するのが選挙の原則だ。選挙運動を最後まで見届けた上で判断したいという有権者の声に応えるためにも、当日の投票環境を整える必要がある。

 例えば投票日当日に商業施設などに開設する「共通投票所」がある。有権者は選管指定の1カ所または共通投票所のどちらか一方で投票する。16年の公選法改正で制度化された。

 ただ、県内市町村では実施例がない。開設には投票済みかどうかの情報を投票所間で共有し、二重投票を防ぐシステムが不可欠。期日前投票に比べて投票所の多くなる当日開設となることから、システム導入の負担が一因とみられる。しかし、投票所削減に伴う棄権を防止する観点から、共通投票所の可能性を探るべきではないか。

 湯沢市以外でも投票所の再編が進む。04~06年の「平成の大合併」で誕生した自治体でその傾向が顕著だ。69市町村だった04年7月の参院選の1141カ所が昨年の参院選は807カ所となり、約3割減った。人口減少や過疎化によって今後も再編が進む可能性がある。

 各自治体は投票率の維持、向上を図るため、地域事情に応じた対策を講じなければならない。私たち有権者も、さまざまな機会を利用して確実に1票を投じるよう心掛けたい。

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