北斗星(9月13日付)

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 赤、黄、白のダリアが登場する童話がある。宮沢賢治(1896~1933年)の「まなづるとダァリヤ」だ

▼自尊心が高く花の女王を目指す赤ダリアは、取り巻きの黄ダリアに自分の美しさをしきりに確認する。一方、白ダリアは口数が少なくつつましやか。赤と白を対照的に描く

▼そこへ飛んで来たマナヅル。「あたしずいぶんきれいでしょう」と赤に問われ素っ気なく対応するが、白には積極的に話し掛ける。やがて赤は黒い斑点が出て、もぎ取られる―。どこか教訓めいていていろいろな解釈ができそうだ

▼1930(昭和5)年の作品。日本ダリア会編「ダリア百科」によると、江戸後期に日本にもたらされたダリアは明治後期から一般家庭に広がり、昭和初期には育種で日本独自の魅力的な品種が続々と誕生していた。そんな中で、賢治はダリアを美の象徴としてモチーフに選んだのだろう

▼現在は赤、白、ピンクの花びらが交ざった珍しい品種もある。秋田市の育種家鷲澤幸治さん(73)が開発した「浮気心」だ。鷲澤さんらが運営する秋田国際ダリア園(同市雄和)で先日、二番花が咲き始めた。常に来場者の目を引く人気の品種という

▼美しさもさることながら、ちゃめっ気たっぷりで会心のネーミングと鷲澤さんが本紙連載「時代を語る」で話していた。一つの花で3色を楽しめるとは、賢治の時代には想像もつかなかったかもしれない。こんなダリアを見たら賢治はどんな童話を作ったことだろうか。

ダリア育種家・鷲澤幸治さんに来し方を語ってもらいました

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