社説:きょう自民総裁選 多様な声尊重する党に

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 安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選はきょう投開票が行われる。石破茂元幹事長、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長の3候補は8日の告示後、連日のように共同記者会見や公開討論会などに臨んできた。

 さまざまな政策を巡って論戦を繰り広げ、新型コロナウイルス対策や経済政策など幾つかの論点で考え方の違いが浮かび上がった。新総裁には論戦で反省すべき点、学ぶべき点があれば、率直に認める懐の広さを期待したい。自らの政治姿勢を保ちながらもできるだけ多様な意見を取り入れることで、幅広い国民の期待に応えられる政権づくりに努めてほしい。

 日本記者クラブ主催の討論会では、新型コロナウイルスによる国内経済への影響が長期化することを視野に、3氏とも追加の経済対策に言及した。

 石破氏は行政手続きのデジタル化によって給付金を本当に困った人に支給する必要性を訴えた。全国知事会が要望する新型コロナ特措法改正にも言及。感染防止のため強制的に経済活動を抑える必要がある場合は経済支援が必要だとして、改正検討に前向きな姿勢を示した。

 菅氏は4~6月期の実質国内総生産が戦後最悪のマイナス成長となったことに触れ、雇用維持と事業継続のためのあらゆる対策を講じるとした。特措法改正を巡っては強制的な営業制限や罰則を導入した場合、私権制限につながり得ることから、慎重な姿勢を崩さなかった。

 岸田氏は新型コロナ対策について「さらなる財政措置」を主張。安倍政権の経済政策アベノミクスを高く評価する一方で、新型コロナの影響で格差が深刻化したと指摘。格差是正に取り組む必要を訴えた。特措法改正に関しては、国と地方の権限の在り方について議論を求めた。

 菅氏はアベノミクスの継承を強調し「さらなる前進」を訴えるが、討論会では「前進」の具体的内容は明らかでなかった。独自政策を打ち出し、国民に分かりやすく説明してほしい。

 特措法改正は補償をどうするかの議論も避けて通れず、難しい問題だ。新型コロナは今後、インフルエンザとの同時流行も懸念される。感染再拡大のため、外出自粛や休業を要請した4月の緊急事態宣言のような事態もあり得ないことでない。今すぐ議論を加速させ、万全を期すべきではないか。

 森友・加計学園や首相主催の桜を見る会を巡る問題で、石破、岸田両氏は政府がさらに説明責任を果たすべきとの考えを示した。既に議論は終わっているとの立場をにじませた菅氏とは対照的だった。

 菅氏は党内5派閥の支持を受け、地方票を合わせても優勢は動かないとみられる。「安倍1強」下の自民ではトップダウンが常態化し、党内議論が軽んじられてきた面は否めない。新総裁には多様な意見に耳を傾け、政策に生かす姿勢を求めたい。

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