北斗星(9月15日付)

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 第2次安倍政権が力を入れた施策の一つに、沖縄県の米軍普天間飛行場移設計画がある。そのかじ取りを一貫して担った菅義偉官房長官に向かって痛烈な批判を浴びせた人がいた。前の沖縄県知事・翁長(おなが)雄志氏である

▼2015年4月の初会談の冒頭、菅氏がしばしば口にした「(移設を)粛々と進める」という言葉について「問答無用という姿勢が感じられる。上から目線の言葉を使えば使うほど、県民の心は離れていく」と非難した

▼菅氏はこの言葉を控えるようになったが、安倍政権は移設工事をまさに「粛々」と進めてきた。知事選や国政選挙で「移設反対」を訴える候補が繰り返し当選し、県民投票が反対多数の結果となっても、顧みることはなかった

▼翁長氏は、著書「戦う民意」で「現在の政治情勢を見るとき、特別に不利益な状況にある地方は、はたして沖縄だけにとどまるでしょうか」と記した。地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画に振り回された秋田県民にはうなずける指摘だ

▼中央集権的な政治手法の危うさを指摘し「地方から日本を変えるという視点が求められます」と説いた翁長氏は18年に病没。一方の菅氏は昨日、自民党の新総裁に選ばれ、首相の座を目前にしている

▼とかく地方が不利益を被りやすいこの国の仕組みを、東北の山あいを古里とする菅氏が知らぬはずはあるまい。秋田出身初の首相に期待したいのは「問答無用」「上から目線」から遠い政治である。

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