北斗星(9月16日付)

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 40年ほど前のNHK大河ドラマ「おんな太閤記」で豊臣秀吉の弟秀長を中村雅俊さんが演じた。西田敏行さん演じる秀吉を「兄者(あにじゃ)」と慕い、時に衝突しながらも冷静な視点で助言する。ぼくとつな語り口の中村さんは適役だった

▼兄弟が敵対し戦うことも珍しくない時代、秀長は有能な補佐役だったと伝わる。自民党の菅義偉新総裁が好きな戦国武将に挙げる人物だ。首相を長年支える中、多くのヒントを得たのだろう

▼補佐役からトップリーダーへ。総裁選の前、菅氏は党員とのオンライン会合で「秀長になりたいと思ったが、今は秀吉を目指している」と語った。「たたき上げの苦労人」と評されており、草履取りから出世した秀吉と重なるものがある

▼秀吉に例えれば青年期の木下藤吉郎時代と言うべきか、国会議員8年目の2003年、経済産業省の政務官に新任された菅氏に抱負を聞いた。秘書として仕えた小此木彦三郎氏が通産相を務めたことに触れ、同じ分野の政務に当たれるのが喜びと語った

▼「日本の産業の基本は製造業。他国との競争に打ち勝つ強い産業を育てたい」とも。落ち着いた口調ながら張り切っている様子がうかがえた

▼おんな太閤記では秀長に先立たれ、周りの声に耳を貸さず非情で傲慢(ごうまん)になっていく秀吉が描かれる。妻ねねは嘆き、人間味あふれた藤吉郎時代を懐かしむ。きょう首相に指名される菅氏。晩年の秀吉を反面教師としながら、「国民のために働く内閣」をつくってほしい。

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