北斗星(9月17日付)

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 秋田の豪雪地帯の農家に生まれ高校卒業後に上京―。そう聞くだけで誰もが一人の政治家を思い浮かべる。その人は菅義偉氏。本県出身者として初めて、総理大臣の座を手にした。その手腕に期待が高まる

▼都会と地方の両方をよく知るという。地盤(支援組織)、看板(知名度)、かばん(資金)がない中、横浜市議に初当選。自民党衆院議員として無派閥ながら首相となった「たたき上げ」だ

▼ただ不安もある。安倍政治の「負」の部分を清算するのか否かが見えない。「敵」「友」を明確に分け政権を維持したのが安倍晋三前首相の手法ではなかったか。選挙演説では自分に批判的な人々を敵視する言葉で非難、国会でやじを飛ばしたのが忘れられない

▼菅氏は官房長官時代、安倍政権の問題を記者に追及されると「指摘は当たらない」などと答えた。政権を守らねばとの思いからだったのか。しかし質問封じのような発言は新首相に似合わない。相手と言葉をやりとりして堂々と答える。そうした寛容さが欲しい

▼新型コロナウイルスへの対応と経済再生は誰が首相になっても困難な課題だ。それを率直に認めつつも政策を明示し、政治の結果責任を潔く引き受ける。そんな首相となることを願う

▼政治家には三つの資質が大切だという。仕事に献身する情熱とそれに伴う責任感、対象への距離を保って現実を直視し、冷静に判断する力だ。「私自身の全て」を傾注して働く。そう語った菅首相の覚悟が試される。

秋田魁新報電子号外

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