社説:Go To東京追加 慎重な事業推進求める

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 政府は10月から、観光支援事業「Go To トラベル」の対象に東京発着の旅行を追加する方針だ。きょう18日以降、準備が整った業者から旅行商品の販売が始まり、予約が可能になる。

 東京は7月下旬の事業開始直前、新型コロナウイルスの感染拡大が特に目立ったために支援対象から外された。政府はさらに感染状況を見極めた上で追加するかどうか最終決定する。

 専門家が東京の追加が妥当と判断すればいいが、東京で著しく感染が増加し、地方へ拡大する危険が高いと判断した場合は、きっぱりと追加を見送るべきだ。また、いったんは追加可能と判断されたとしても、状況が変化すればいつでもストップすることを前提に、慎重に事業を進めていくことが求められる。

 支援事業は1日2万円を上限に旅行代金の50%を国が補助する。8月の開始予定を前倒しし、7月下旬にスタート。現在の補助額は35%だが、10月からは15%分の地域共通クーポン配布も始まる。旅先の飲食店、土産物店などで使えるようにする。

 昨年の全国の国内宿泊者(従業員100人以上の施設)は2割を都民が占めていた。現在はコロナ禍の中で県境を越えた移動自粛が進み、観光関連業者の経営が悪化。東京発着の旅行が支援対象に加われば、観光需要の底上げが期待される。

 厚生労働省によると、7月以降の新型コロナ「第2波」の新規感染者数は全国的には8月初旬がピークで、その後は減少傾向にある。だが、東京は7月中旬と同水準の200人前後の日が最近も続いている。東京を中心とした人の移動が活発化することで、感染が再び拡大に転じることが懸念される。

 政府の新型コロナ対策分科会は、まだ十分に感染者が減っておらず、都心部からの流行再燃があり得ると指摘。東京発着の旅行を支援対象に追加する期日をあらかじめ10月1日と決めるのは難しいとしている。

 この状況で、10月スタートを前提に旅行商品の販売をスタートさせるのは拙速ではなかったか。政府は東京が追加対象にならなかった場合、業者にキャンセル料を取らないように要請し、業者の損害分は補填(ほてん)することも明らかにしている。

 だが一部業者からは予約を受けるべきかどうか戸惑いの声が上がっている。7月にも東京除外に伴うキャンセル料の補償などを巡り混乱が生じた。その反省が生かされなかったとすれば残念だ。

 支援事業は菅義偉首相が官房長官の時から主導してきた。8月末までに延べ1339万人が利用し、地方経済を下支えしたとしている。感染防止と社会経済活動の両立を目指す考え方は理解できる。ただ、経済再生を急ぐあまりの見切り発車的な事業推進は避けなくてはならない。感染拡大の防止を第一に、慎重に判断することが必要だ。

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