北斗星(9月18日付)

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 忍耐力は何で培いましたか? 菅義偉首相は自民党総裁選中の先週、ネット番組でこう問われた。答えは「秋田の寒さ」。「どんなに寒くても春に雪が解け土が出てくる。その時の気持ちは忘れられない。何となくほっとするというか…」。小膝を打った。春先の情景をしみじみと語れる紛れもない秋田人だと

▼仕事を淡々とこなす実直さも雪国が育んだのだろうか。総裁選のさなかも、官房長官として1日2回の記者会見に可能な限り対応。台風接近時は官邸で警戒に当たった

▼公務を優先する姿が支持拡大につながった面もあろう。新首相は本県出身者では初、自民無派閥は事実上初、法大出身も初。幾つもの初物を積んで菅政権が船出した

▼16日の首相就任会見では「働く内閣」と「規制改革」を掲げた。デジタル庁創設をはじめ不妊治療への保険適用、農産品の輸出促進など訴えた政策は多岐にわたる

▼霞が関の官僚組織を掌握してきた。政策実行に向けて辣腕(らつわん)を振るうことだろう。ただ、突破力と強引さは紙一重。おごりは禁物だ。ネット番組では「いま私、力がありますから(省庁間の壁を)すぐぶち破ることができるんです」と述べた。権力者の素顔を垣間見た気がした

▼2年前、総裁選で連続3選を果たした安倍晋三前首相は「謙虚に、丁寧に、慎重に当たる」と強調しながら、必ずしも言葉通りの政権運営をしたわけではなかった。菅政権が安倍路線を継承するなら、前任者の残した教訓もお忘れなく。

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