社説:県産の主食用米 在庫増見据え対策急げ

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 2019年7月~20年6月の全国のコメ需要実績は713万トンとなり、前年同期に比べて22万トンの減少となった。人口減少や少子高齢化により年10万トン程度の下落が近年続いていたところに、新型コロナウイルスが拍車を掛けた。

 感染拡大で外食を控える傾向が強まり、業務用米の需要が低迷。その一方で生産状況は全国的に良好となっている。このままでは過剰供給となり、県産米価格にも影響しかねない。県とJA、生産者はしっかりと連携し、早急に価格維持対策を講じなければならない。

 今年の全国の作付面積は前年に比べ微減、作柄は「やや良」から「平年並み」の予測だ。21年6月末時点の民間在庫量は229万トンの見込み。豊作などで主食用価格が大幅下落した13年産、14年産以来の高い水準だ。

 こうした状況を踏まえ、JA全農あきたは20年産あきたこまちのJA概算金を6年ぶりに減額。前年同期比で700円安い1万2600円(1等米60キロ)とした。生産者への実質的な仮渡し金は1万2100円前後の見通し。14年産は3千円減で8500円となっており、21年産以降も下落が懸念される。

 本県の19年産需要量は前年比0・4万トン減の43・3万トン。在庫量は13万トンで、県の適正規模の1万トン超と比較的少ない水準にとどまる。だが20年産は、農家直売分などを差し引いた販売計画数量31万トンのうち、売り先未定が約3万トンに上る。県やJAなどは早期契約を推し進め、来期への在庫を少しでも減らす取り組みを進める必要がある。

 本県の在庫量がそれほど多くないのは、業務用が全体の2割にとどまり、新型コロナの影響が他県よりも少なかったからだ。ただし今後は需要が低迷している県外産の業務用が、家庭用に売り先を切り替えることも予想される。安価な業務用がディスカウント店やスーパーなどに出回れば、県産の家庭用の販売にも影響を与えかねない。

 その対策として県は、JAなどの集荷団体に対する販売キャンペーン支援費として2千万円を9月補正予算案に盛り込んだ。量販店などで県産米販売スペースを維持してもらうことなどが狙いだ。これとは別に、生産コスト抑制に効果があるスマート農機の導入補助に3億2500万円を計上している。

 JA全中は、JAグループが全国で集荷する20年産のうち、約20万トンを21年秋以降に販売する方針だ。これにより流通量を減らし、価格下落を抑えるという。しかし、これは問題の先送りにすぎず、来年の需給バランスにも影響する可能性がある。

 生産調整(減反)が終わって3年。本県は米作県として、これまで以上に売れるコメを追求していかなければならない。今後の需要減少を見据えてコメ偏重からの脱却にも力を入れ、大豆や野菜などの生産拡大をさらに推し進める必要がある。

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