社説:ジャパンライフ事件 政治との関係、解明せよ

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 高額な磁気ネックレスなどの預託商法を展開、約3年前に破綻した「ジャパンライフ」の元会長山口隆祥容疑者や元幹部ら14人を警視庁などが逮捕した。債務超過の事実を隠し、購入商品を周囲に宣伝すれば元本を保証し配当を払うとうそを言って8都県の12人から計約8千万円をだまし取った詐欺容疑だ。

 同社は数百万円の磁気ネックレスやベストを訪問販売。客が購入商品を同社に預けて貸し出せば配当金を受けられる、という「レンタルオーナー制度」をうたっていた。

 本県を含む44都道府県の高齢者ら延べ約1万人から計約2100億円を違法に集めたとみられており、捜査当局は全容解明を急がなければならない。弁護団などは被害回復に全力を尽くしてほしい。

 預託商法の仕組みはこうだ。客は購入商品を販売者に預け、代金や契約料を受け取った販売者は預かった商品の運用利益を客に払う。客の手元に商品がないことから、「現物まがい商法」などと問題視されてきた。

 規制するはずの預託法の不備が長年にわたり被害を拡大させてきた面は否めない。まず開業を許可制にするといった規制がない。規制対象が「特定商品」に限られる問題もある。つまり、それ以外には網が掛からないことになる。

 その結果、対象外の商品が人気となると、対象への追加を迫られた。和牛商法流行に伴う「畜産」の追加、ジャパンライフの社会問題化を受けた「家庭用治療機器」の追加がその例だ。規制は後追いに終始していたということだ。

 消費者庁は、預託商法を原則禁止とする預託法改正案を来年の通常国会に提出する方針。原則禁止を含め、同様の被害が二度と起きないような仕組みづくりを急ぐ必要がある。

 ジャパンライフが「政官」などに深く食い込んできたことも見逃せない。山口容疑者はかつて中曽根康弘元首相に多額の献金をしていたほか、同社は消費者庁の元官僚や元新聞社幹部ら6人に計約1億6千万円もの顧問料を払っていた。こうしたことが規制の動きを鈍らせたことがなかったのかどうか。

 安倍晋三前首相主催の桜を見る会では、山口容疑者が「首相推薦枠」で招待された疑惑が依然として拭えない。容疑者宛ての招待状を印刷したチラシは各地の顧客勧誘セミナーで使われ、「初めて来た人でも会社を信用した」(元社員)というほどの宣伝効果があった。

 安倍前首相は衆院予算委員会で野党議員に問われた際、招待したのかどうかさえ明らかにしなかった。現在の菅政権下、加藤勝信官房長官も再調査に否定的な考えだ。しかし、延べ1万人もの被害者がいる事件であることを考えれば、真相解明は不可欠だ。政府として事実関係を調べ直し、責任の所在を明らかにしなくてはならない。

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