なぜ首相指名で45歳女性議員に投票したのか 寺田静氏

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 9月16日、東京・永田町。国会議事堂ではこの日、衆参両院の議員たちが、総理にしたい人に1票を投じる「首相指名選挙」に臨んでいた。

 自分は誰に入れるべきか。人生初の投票を前に、参議院議員の寺田静さん(45)=秋田市=は悩みに悩んだ。本県出身の自民党総裁・菅義偉さんか、はたまた立憲民主党党首・枝野幸男さんか―。

 正直にいうと、どちらもしっくりこなかった。そこで一度、頭を空っぽにした。

首相指名選挙の投票が行われた衆院本会議。議席に座る議員たちの中で、女性は1割に満たない=9月16日


 自分は政党に属さない「無所属」の議員。従うべき「党の方針」はない。参院事務局から届いた首相指名選挙の説明書には「国会議員の名前を書いてください」とあった。「つまり702人の議員の、誰の名前を書いてもいいのだ」とあらためて気が付いた。

 「私が理想とする総理大臣は、どんな人だろう?」。真っさらな心で思い描いた時、一人の参院議員が浮かんだ。同い年の伊藤孝恵さん(45)=国民民主党、愛知県選挙区。議員になって5年目、2児の母だ。

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 伊藤さんは、生まれた子どもに障害があるかもしれないと知り、社会を変えたいと考えて国会議員になったという。子育てや親の介護をしながら働いている。「同世代で同じく子育て中で、問題だと感じる課題も解決したい方向性も同じ。伊藤さんに日本を変えてほしい、と思いました」

 本人には、あなたに1票を入れたいと事前に伝えた。止められるかと思ったが、伊藤さんは「すごく重いことで…。でも大変光栄です」と答えたという。

 ふさわしいと思う人に1票を投じる。ごく当たり前の行動に思えるが、派閥や、前例や、慣習を重んじる議員たちからは「ずれている」と見られた。議場で「伊藤孝恵さん、1票」と読み上げられると、数人の男性議員がやじを飛ばしてきた。

 「(伊藤さんが)自分で入れたんじゃないのか」「記録に残るのに何やってるんだ」

 伊藤さんに申し訳なかった。しかし後悔はなかった。

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