社説:御嶽山噴火6年 予測の難しさを教訓に

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 紅葉シーズンの登山者ら58人が死亡、5人が行方不明になった御嶽山(長野、岐阜両県、3067メートル)の噴火から6年がたった。噴火警戒レベルが1(平常)の状況で起き、戦後最悪の犠牲者数となった。関係機関や登山者、住民は噴火の予測の難しさを肝に銘じ、万全の警戒をすることが必要だ。

 御嶽山の噴火は2014年9月27日の正午前に発生。マグマで地下水が熱せられ、水蒸気となって急激に膨張し岩石を飛散させる「水蒸気爆発」が起き、噴石が登山者らを直撃した。

 御嶽山は噴火前、火山性地震が増加。だが気象庁は他の観測データに変化がなかったことから「噴火の予測は難しかった」とした。これに対し、一部の遺族らはレベルの引き上げを怠ったなどとして、国と長野県に損害賠償を求めて係争中だ。静かに見える火山も危険性を秘め、大規模な噴火災害が突然起こり得ることを御嶽山噴火は示したと言える。

 御嶽山噴火を教訓にこれまで各種対策が取られてきた。政府は翌15年、活動火山対策特別措置法を改正。活動が活発などの理由から同庁が24時間監視している「常時観測火山」周辺の自治体を警戒地域に指定した。

 県内の常時観測火山は秋田焼山、秋田駒ケ岳、鳥海山、栗駒山、十和田の五つ。警戒地域には、噴火シナリオやハザードマップに基づく避難計画の作成を義務付けた。全国では7割の自治体しか避難計画を作成しておらず、対応を急ぐべきだ。

 気象庁は同年、登山者の一刻も早い避難を促すため「噴火速報」の運用を開始。大規模噴火などの発生情報を、スマートフォンやラジオを通じて登山者へ即座に送る仕組みを整えた。

 水蒸気爆発による噴火はマグマ噴火に比べ、事前の変化が小さい。気象庁は水蒸気噴火の兆候を把握するため、噴火前に起きることがある低周波地震を捉える地震計や、山の表面温度を測る熱映像カメラを全国に増設した。しかし18年1月の草津白根山の本白根山(群馬県)の噴火、19年8月の浅間山(群馬、長野両県)の噴火では前兆現象が観測されず、予測が容易でないことを改めて見せつけた。

 予測の難しさを現実のものとして受け止め、今後の噴火に備えなくてはならない。噴石を避けるシェルターなどの整備はもちろん、関係機関が一層の連携を深め、火山に対する住民の関心を高めていくことが肝心だ。ヘルメットも必須の装備として携行を呼び掛ける必要がある。

 御嶽山噴火では多くが登山届を提出していなかったため、安否確認に手間取った。対策としてこれも徹底したい。

 火山はそれぞれ特徴が大きく異なり、特定の火山に精通した専門家が求められるが、火山研究者の不足が続いている。日本は活火山が111ある世界有数の火山国だけに、その育成を早急に進めることが求められる。

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