社説:県コロナ対応指針 社会変化、施策に生かせ

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 県は新型コロナウイルスへの対応指針として、「ウィズ・アフターコロナ秋田ビジョン」を策定した。県政運営指針「第3期ふるさと秋田元気創造プラン」(2018~21年度)を補完する形で、コロナ禍とコロナ収束後の取り組みの方向性について約90項目を列挙している。

 感染拡大地域との往来を自粛したり、「3密」を回避したりと、新型コロナは県民の生活や企業活動などに大きな変化をもたらした。人口減対策や産業振興など3期プランで掲げた取り組みの効果を上げるためには、こうした社会情勢の変化を考慮し状況に応じて内容を修正することが必要であり、県の新指針策定は当然のことだ。

 特に新指針が、人口が密集する首都圏での感染拡大を機に一極集中の流れを変えられる可能性に言及していることに注目したい。今後、地方での生活が見直され、移住の機運が高まる可能性がある。そうした変化一つ一つを綿密に分析し、果敢に対策を打ち出すことが重要だ。

 新指針は3期プランと同様に▽ふるさと定着回帰▽産業振興▽人・もの交流拡大―など六つの戦略を軸に構成。来年度までの当面の対策を盛り込んだ。

 最重要課題である人口減対策では地方への関心の高まりに加え、自宅や遠隔地で仕事をする「リモートワーク」が定着してきたことに着目。首都圏在住者らによる活用を想定し、現在の仕事を継続したままで本県に移住する人を支援していく方針を打ち出した。

 転職が不要であれば、移住を前向きに考えてもらえるはずだ。新しい形の移住であり、可能性を探ってもらいたい。県は東証上場企業など約4千社を対象にアンケートを実施、その結果を基に移住者や企業への支援策を検討する方針。早期に具体化して、本県の受け入れ体制を積極的にアピールすべきだろう。

 産業振興では部品のサプライチェーン(調達・供給網)を強化するため、海外拠点を集約して県内に製造拠点を設けたり、県内工場を増強したりする企業を支援する方針を盛り込んだ。感染拡大の影響で海外からの部品供給が滞り、国内生産に深刻な打撃を受けた企業が多かったことが背景にある。

 リスク回避のため、企業は国内の調達ルート再構築を検討。国も補助金を創設して設備投資などの支援に力を入れている。県も企業ニーズをきちんと把握し、県内への企業集積を可能とする独自の対策づくりに全力を挙げてほしい。

 観光分野では3密を回避する旅行スタイルの広がりを意識して、少人数による自然体験の観光メニューづくりなどを推進する。その際は、旅行者の志向の変化に柔軟に対応することが何よりも大切だ。カヌーやサイクリング、山歩きなども楽しめる自然豊かな本県の強みを今こそ生かしたい。

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