社説:県内基準地価低迷 移住者呼び込む契機に

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 都道府県地価(基準地価)の全用途全国平均が7月1日時点で前年比マイナス0・6%となり、3年ぶりに下落した。これまで上昇基調にあったが、新型コロナウイルスの流行に伴う経済活動の停滞が低調な土地取引につながったようだ。

 一方、県内の地価は緩やかな回復基調を維持したものの、長く全国最低の水準にある。地価は地域の景気動向を測る指標でもあり、全国の「潮目の変化」が県内に及ぼす影響を注視する必要がある。

 県内の住宅地を見ると、秋田市中心部など利便性の高い地域で価格の上昇または横ばい基調が続いた。人口減による住宅需要の先細りが懸念される中、低金利下での緩やかな景気回復に加え、長年の地価下落による値頃感があるようだ。

 とはいうものの、平均価格は1平方メートル当たり1万3200円と、15年連続で全国最下位だ。県内で最も高い秋田市でも3万3100円で、全国平均(7万3600円)の半分以下にとどまる。

 商業地も同様だ。平均価格は2万4500円で16年連続の全国最下位。秋田市はJR秋田駅周辺の再開発や幹線道路沿いの店舗需要の高まりから2年連続で上昇したが、5万2900円であり、全国平均(38万300円)との差は大きい。

 県内の地価が低迷を続けているのは確かだ。だが、コロナ禍の中、この地価の低さを逆手に取って県外から人を呼び込むことはできないだろうか。

 新型コロナの影響で、国内の働き方や生活スタイルが変化しつつあることに注目したい。今後、在宅勤務やテレワークが拡大していけば、大都市にオフィスを置く必要性は低くなる。東京圏は7、8月と連続して、他の道府県への人口流出を示す「転出超過」となった。

 東京一極集中を是正する好機とも言えるのではないか。菅政権発足後初となる経済財政諮問会議では、新型コロナの感染拡大を契機に、地方活性化の推進に軸足を移すよう政府に求める声があった。具体的には、都市圏に住む人たちが同時に地方でも活躍できるよう、2地域での居住をしやすくする政策の推進を求めた。

 こうした都会から地方への人の流れを創出することなどを柱とする提言に対し、菅義偉首相は「この内閣で強力に取り組む」と述べた。政権が掲げるデジタル化推進も実現の後押しになり得るだろう。

 もちろん、国任せにはしていられない。本県をはじめ地方も知恵を絞るべき時だ。IT基盤の拡充やテレワークに適した環境の整備、子育て支援や快適なまちづくりをこれまで以上に強力に推し進めていかなければならない。併せて、そうした取り組みについての情報を企業や移住希望者に確実に届ける必要がある。それが地方に人を呼び込むことにつながるはずだ。

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