社説:GoToイート 制度の不備繰り返すな

お気に入りに登録

 新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた飲食業界を支援する政府の「Go To イート」のポイント付与事業が、スタート早々に修正を迫られた。先行して実施された観光支援の「Go To トラベル」では開始直前に東京が対象から除外され混乱した。イートでも問題が生じたことは一連の事業への信頼を損ない、関連業界の需要回復に水を差しかねない。制度の不備や運用上の混乱を繰り返した責任は重い。

 イートは消費喚起事業「Go To キャンペーン」の一環。ポイント付与事業と、都道府県単位で実施する25%のプレミアム付き食事券事業の二つからなる。ポイント付与は1日に全国でスタートした。

 インターネットサイトを通じて予約した場合に限り、昼食で1人当たり500円分、夕食で千円分のポイントが付く。次回以降の飲食の際に相当額が割り引かれ、飲食店の需要喚起につながると期待される。

 しかし、一部外食チェーン大手には、千円未満の格安メニュー1品だけを注文して千円との差額分のポイントを荒稼ぎする利用者が押し寄せた。同一チェーンの店舗を複数回ってポイントを重ねる動きもあった。

 繰り返せばいくらでもポイントを稼げることから、ネット上では「錬金術」などと話題になった。不公平感や制度の不備を指摘する声が噴出したのは当然と言える。

 コロナ禍で窮地に立たされた飲食店を支援するために制度設計を急いだとはいえ、不備があっていいはずはない。当初は担当者が「飲食店が対応する」と繰り返し、農林水産省の当事者意識の欠如は明らかだった。ポイントを負担する財源は税金であることを忘れてはいけない。

 農水省は批判が高まったのを受けて重い腰を上げた形。一定の金額利用を予約の要件にしたり、コース料理の予約に限ったりする方法で飲食店が対応するよう、予約サイト運営会社を通じて求めた。

 ポイント付与事業では予約した利用者が実際に店を訪れた場合、飲食店が予約サイトに手数料を払う。手数料はサイトによって異なるが、夕食で1人200円などとなっている。この負担を敬遠して登録を見送る飲食店もある。より飲食店の使い勝手がいい制度にしなければ、飲食業支援という本来の目的が果たせないのではないか。

 イートのもう一つの柱である食事券事業は5日開始の新潟県を皮切りに、全国で順次始まっていく。本県は20日開始の予定。他に文化芸術・スポーツなどのイベントや商店街を支援する事業も全国で今月中に始まる。

 政府は感染防止と社会経済活動の両立を目指す。そのためにも今後、イートやその他の事業で国民の不安や混乱を引き起こすことがあってはならない。万全な制度設計と運用を徹底することが求められる。

秋田の最新ニュース