社説:国の少子化対策 抜本的取り組み推進を

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 菅義偉首相が政権の目玉施策の一つに掲げる不妊治療への保険適用拡大は2022年度にも実現する見込みだ。これに先立ち、国は来年度から不妊治療の助成制度の所得制限を撤廃する方向で検討に入った。患者支援の前進は評価できる。

 昨年の出生数は過去最少の86万5千人となった。少子化問題は深刻化する一方だ。不妊治療など個別の施策のみならず、総合的、抜本的な少子化対策を示し、実行することを求めたい。

 今後5年間の指針「第4次少子化社会対策大綱」が5月に閣議決定されている。若い世代が希望する数の子どもを持てる「希望出生率1・8」の実現を目標にした内容だ。

 この中で「不妊治療にかかる費用負担の軽減」や「児童手当の充実」などの検討が提言された。これが今回の少子化対策にも反映されている。

 現在、公的医療保険が適用されるのは不妊の原因検査や排卵誘発剤を使う治療など一部のみで、それ以外の費用は自己負担となっている。国は不妊治療の実態調査を行い、議論を重ねた上で、2022年4月の診療報酬改定に合わせて保険適用を拡大する考えだ。

 一方、不妊治療の助成制度の拡充は来年4月実施の方針。所得制限の撤廃のほか、最大6回と定めている助成回数の制限緩和や助成額の引き上げなどが検討されている。不妊治療の経済的負担に悩む患者たちの期待にしっかり応えてもらいたい。

 治療を受ける患者は経済的負担ばかりではなく、仕事と治療の両立、医療機関の技術格差などにも不安や悩みを抱えている。包括的な制度設計、法整備を求める声に耳を傾けることも必要だ。

 少子化対策の一環として、来年度から新婚世帯への新生活支援の上限を2倍の60万円にする方針も打ち出された。「結婚新生活支援事業」を実施する市町村に住む夫婦限定。事業は7月10日時点で全市区町村の約15%に相当する281市町村が実施している。県内では秋田市など7市町村。

 婚姻日時点の夫婦の年齢、所得などの上限を見直し、年齢は39歳以下、世帯所得は540万円未満に拡大する。支援に占める国の補助率は現行の50%から3分の2に引き上げる方針。これを機により多くの市町村で実施してほしい。

 出生率向上には、男性の家事・育児参加を増やすことも必要だ。そのためには育児休業取得、長時間労働の解消など働き方改革の推進も急がれる。

 少子化の根本には若者が抱く将来への経済的不安があると指摘される。非正規雇用の増大により、結婚に踏み切れず、出産・育児の経済的な負担に耐えられない若者が少なからずいる。そうした雇用の現状に切り込む抜本的対策なくしては少子化問題は解決できない。菅政権の本気度が問われる。

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