北斗星(10月20日付)

お気に入りに登録

 「おむすびころりん1億個」。ACジャパンの広告が本紙に時々掲載され、テレビでも放映されている。ご覧になった方もいるだろう。おむすびの例えは、まだ食べられるのに捨てられている食品が国内で年間600万トン台に達する食品ロスの深刻さを伝えている

▼今月は食品ロス削減月間。秋田市では一昨日、啓発イベントが開かれた。「食材を無駄にしない」をテーマにしたレシピコンテストや干し野菜の作り方講習会などを繰り広げた

▼入賞したレシピ「エコきんぴら」は野菜の皮を活用した。これはわが家でも定番だ。特にダイコンの皮のきんぴらはゴボウより人気がある。入賞レシピは中華風の味付け。今度ぜひ試してみたい

▼野菜の皮を食べるようになったのは、作家の故水上勉さんの随想集「土を喰(くら)う日々」を読んでからだ。水上さんは少年の頃、京都の禅寺で精進料理の作り方を学び、その体験を基に季節の食材を使った料理を紹介している

▼2月の章にはホウレンソウの赤い根の部分を使わず放置して老師に注意された話がある。一番うまい部分を捨ててはならない―との教えを水上さんは大切に受け止め、青いおひたしに赤い根を花のようにまぶした

▼世界では食料廃棄が年間13億トンに上る一方、8億人を超える人々が栄養不足に苦しむという大きな矛盾が存在している。「大根一本の中で捨てるところは何もない」。身をもって食べ物を大切にする暮らしを実践した水上さんに学ぶべきことは多い。

秋田の最新ニュース