社説:コロナ禍の内陸線 県民の利用促す努力を

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 秋田内陸線の定期券以外の利用客が、新型コロナウイルス感染症の影響で前年度の半数に落ち込んでいる。訪日客を含む県外観光客が激減したためだ。最近は観光需要が回復の兆しを見せており、万全な感染防止対策を講じながら観光客受け入れを進めたい。

 一方、内陸線にとって沿線住民や県民による利用がいかに大切かがコロナ禍で再認識された。関係機関は内陸線の魅力を一層PRし、利用促進に取り組んでもらいたい。

 内陸線を運行する第三セクター・秋田内陸縦貫鉄道(北秋田市)によると、通学や通勤などの定期券利用を除く本年度の利用客は今月19日までに4万2241人。前年度同期(8万4881人)の49・8%にとどまる。前年同月の20・4%にまで落ち込んだ4月以降は徐々に回復しているが、9月も83・2%と前年割れ。約4割を占める定期券利用客は人口減などの影響で1割弱減少する見込みという。

 同社は県と沿線の北秋田、仙北両市などが出資。生活路線としての必要性に加え観光需要も見込めるとして、同社が年間赤字を2億円以内に抑え、県と両市が公費で補填(ほてん)する合意を結んでいる。前年度決算は1億8822万円の赤字。5年続けて2億円以内の目標をクリアしたが、厳しい経営が続く。

 利用客の減少により赤字の増大が懸念される。特に前年度に過去最多の3万3千人超を記録した訪日団体客の利用は本年度後半も期待できず、ほぼゼロと想定されるため影響が大きい。

 県は利用促進策として、貸し切り列車料金の半額を利用者に補助する事業などを展開。両市は宿泊客や市民に乗車券をプレゼントするなどの支援策を実施している。県内小中学校が修学旅行に利用したり、住民が車窓から沿線の田んぼアートを楽しんだりと、支援策がきっかけで初めて乗る人も増えているという。

 同社は修学旅行生向けに伝統的なマタギの装束を準備するなど、車内で地元文化をPR。9月の貸し切り列車利用は例年の倍以上の34件に上ったといい、さらなる利用促進やリピーター獲得につなげたい考えだ。

 今月になって九州や沖縄から団体予約が入るなど、県外からの旅行需要に回復の兆しが見えている。今後、紅葉や雪のシーズンを迎え、観光客の増加が期待される。コロナ禍という非常事態ではあるが、赤字目標のクリアに向けて盛り返しを図ってほしい。

 車窓からの四季折々の眺めが人気を呼び、森吉山の樹氷など沿線の観光資源の魅力も相まって、内陸線を利用する国内外の団体客が増えているさなかのコロナ禍だ。感染者が少なく感染リスクの低い県内の観光が見直されている今こそ、内陸線の魅力を県民にアピールしたい。県民の利用を増やすことが経営体力強化につながるはずだ。

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