北斗星(10月27日付)

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 菅義偉首相はまだ官房長官だった4月、ビジネス誌上で人生相談の連載を始めた。得意な英語を仕事で生かせず悩む新入社員を皮切りに、さまざまな人の悩みに答えること10回。出身地の湯沢市から上京した頃の自身の苦労話も披露した

▼人々の生活実態や時代の空気も読み取れるのが人生相談のいいところという。連載は首相就任を機に終了。きのうの就任後初の所信表明演説には回答者としての経験が生かされただろうか

▼内閣発足から約40日。デジタル庁新設や不妊治療の保険適用など自民党総裁選で掲げた政策の実行に向け積極的に取り組んできた。「成果を実感いただきたい」と、政策の結果を重視する姿勢は「国民のために働く内閣」らしいとも言える

▼演説内容は全体に目新しさが乏しい印象だった。新型コロナウイルス感染の波が収まらない中、本格的な国会論戦は安倍前政権時代以来4カ月ぶり。コロナ、経済、外交など山積する問題を巡り政府、与野党ともに真摯(しんし)な議論を展開してほしい

▼今国会の焦点とされる日本学術会議会員の任命拒否問題について、菅首相は一言も触れなかった。自ら説明を尽くす姿勢を期待しただけに残念だ。一方、目指す社会像に関して「自助・共助・公助」と改めて表明した

▼コロナ禍では自力ではどうにもならず困っている人も多い。人生相談で「政治家の仕事は、国民の悩みを知り、耳を傾け、解決策を模索することが根本」と語っていたことを忘れないでほしい。

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