北斗星(10月29日付)

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 仙台市に住む50代の男性から今年はお盆の帰省を見合わせたと聞いた。秋田の実家で1人暮らしの父が、日頃利用する通所介護施設にこう言われたからだ。「県外の人と接触した場合、利用を2週間控えてほしい」

▼「2週間」は新型コロナウイルスの感染から発症までの最長潜伏期間とされる。いまや国民の新常識とも言える目安だろう。日本への入国者はこの間、自宅や宿泊先などから出ずにとどまるよう国が要請している

▼この2週間ルールを政府は近く緩和、ビジネス目的の出張帰国者や再入国者を対象に待機免除に踏み切る。公共交通機関を使わないことを前提に自宅と職場の往復に限り移動を認める。2週間の行動計画や宿泊先、勤務先などの提出が条件だ

▼ビジネスなどで日本に3カ月以上滞在する際の全世界からの入国は、今月から条件付きで再開している。矢継ぎ早とも映る緩和の動きは経済再生を重視する菅義偉首相の姿勢そのものだろう

▼欧州ではバカンスや経済活動で人の流れが活発化し感染が再燃している。日本でも往来再開が進み感染拡大のペースが加速しないか。水際対策は大丈夫か。不安は尽きない。気掛かりなのは、待機免除を機に2週間ルールが有名無実化しないかということだ

▼先の男性はこう自分に言い聞かせたという。「きょうの我慢が2週間後の感染者数を抑えるはず―」。ウイルスが弱毒化したから制限を緩めるわけではない。その当たり前のことを改めて肝に銘じたい。

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