社説:ワーケーション 「秋田スタイル」確立を

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 旅先で休暇を楽しみながらテレワークをする「ワーケーション」への関心が高まっている。都市から地方への人の流れをつくり、地域活性化や将来の移住・定住、2拠点居住につながることが期待される。

 本県では民間主導で推進団体が組織された。本県の魅力を生かした「秋田スタイル」のワーケーションを確立し、全国への発信を強めたい。

 ワーケーションはワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語。職場から離れて仕事をするテレワークの一種だ。

 米国などで始まり、日本では働き方改革や地方創生につながる取り組みとして注目されている。今夏予定されていた東京五輪・パラリンピックでは開催地の混雑緩和策として浮上。新型コロナウイルスの流行でインバウンド(訪日外国人客)が見込めない中、観光振興策としても期待が高まっている。

 全国各地でワーケーション誘致の動きが活発化する中、本県では今月、民間主導で秋田ワーケーション推進協会が設立された。宿泊や観光、金融、マスコミ、建設、運輸など多様な企業と経済団体や観光団体、大学、自治体など計83の企業・団体が加盟する。スピード感ある取り組みにより県内に人を呼び込みたい。

 県は首都圏の東証上場企業など約4千社を対象にアンケートを実施。85社が本県でのワーケーションに関心があると回答した。県は首都圏企業の社員を招いた体験ツアーも行い、好感触を得たとしている。ツアーの模様を動画にまとめ、PRする予定だ。

 本県は自然や温泉に恵まれているだけでなく、大仙市の「全国花火競技大会(大曲の花火)」や横手市の小正月行事「かまくら」など全国的に知名度の高いイベントが多い。国重要無形民俗文化財も全国最多だ。家族連れには、学力テストで全国トップクラスの成績を維持する小中学校教育も売り込み材料になり得る。こうした魅力をどう発信していくかが課題となる。

 ワーケーションを普及させるためには、推進団体の努力だけでは十分ではない。休暇中の労働時間や交通費、宿泊費の負担、滞在先での事故対応など、企業側が就業ルールに関して検討すべき事項が多いからだ。「休暇を過ごしながら仕事というのは、休暇とは言えない」との批判もある。

 製造業や福祉分野、飲食業など決まった現場を持つ業種ではテレワークが可能な人は限られ、不公平感が生じかねない。誰もが利用できる制度の確立が求められる。

 企業で働く人が2019年に取った年次有給休暇(年休)の平均取得率は56・3%。取得日数は会社の規模が大きいほど多い傾向にあった。ワーケーションの普及には気兼ねなく長期休暇が取れる環境づくりも必要だ。

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