社説:新規感染2千人超 踏み込んだ防止策急げ

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 新型コロナウイルスの1日当たりの新規感染者が3日連続で2千人を超え、過去最多を更新した。北海道や岩手県、大阪府などでも最多となった。

 厚生労働省専門家組織は「放置すればさらに急速な感染拡大に至る可能性がある」と指摘。全国で急拡大するか否かの分岐点にあるとの認識を示した。

 こうした状況を受けて政府の新型コロナ分科会は昨日、感染者が急増している地域について政府の需要喚起策「Go To キャンペーン」の運用を見直すよう提言。政府はきょう21日、対応を協議する。

 経済を立て直すため、政府がGoToを展開してきたのは評価できる。ただし感染者が急増する現状でこれ以上続けていいのかどうか。県境をまたいでの旅行など人々の移動を促す事業が感染拡大を加速させることはないのか。不安が拭えない。

 懸念されるのは、新型コロナ患者向け病床の使用率が各地で急上昇していることだ。18日時点で、北海道や兵庫県などでは1週間で10ポイント以上伸びた。札幌市内の病院では高齢者の寝たきりの患者が増加、看護師らは対応に追われ、「ぎりぎりの状態」と悲鳴が上がる。

 医療逼迫(ひっぱく)の恐れがあるにもかかわらず、政府がGoToを継続してきたのは「再び強い経済を取り戻したい」という菅義偉首相の考えがあるからだろう。社会経済の日常を早期に取り戻し、東京五輪への機運を高めて景気回復につなげる。それが首相の描くシナリオだという。

 だが、この経済重視の姿勢は誤ったメッセージとして受け取られかねない。新型コロナへの人々の「慣れ」を生み出し、感染拡大の危険性を高めている疑いも払拭(ふっしょく)できない。日本医師会の中川俊男会長は、きょうからの3連休を前に「(コロナに)慣れないでください」と警告。GoToトラベルが感染拡大のきっかけになったと指摘した。

 それにもかかわらず政府は、GoTo見直しについて都道府県にげたを預けるような発言に終始。首相はマスク着用による「静かなマスク会食」を呼び掛け、厚労省幹部は「廊下に患者が並ぶ海外のような状況にはなっていない」との認識だ。

 しかし海外のような状況になってからでは手遅れだ。「第3波」とされる中、クラスター(感染者集団)は職場や外国人コミュニティー、福祉施設などさまざまな場所で発生。個々人による基本的な防止策だけでは、もはや追い付かなくなっている恐れもある。都道府県単位の対策に限界があることを政府は認識しなければならない。

 今なすべきは政府の責任で各自治体と連携、地域の感染状況を分析して個々の取るべき対策を明示することだ。GoToは地域の実情に即し見直すべきではないか。感染爆発となれば経済再生の努力も水の泡となりかねない。政府は踏み込んだ防止策を早急に打ち出すべきだ。

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