社説:大仙の新健康事業 市民の意識高め推進を

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 大仙市は先月、健康計測機器製造のタニタ(東京)と連携し、新たな健康づくり事業をスタートさせた。手のひらサイズの活動量計を希望者に無償貸与し、各自の健康管理に役立ててもらう。全市民と市内の事業所で働く人を対象にした大規模な取り組みだ。市民一人一人が健康づくりへの意識を高め、疾病予防につなげてほしい。

 タニタが市に協力を申し出たことで実現した。同社は活動量計8万2千個を市に贈り、市が2021年度末までに希望者に配布。活動量計で測定した歩数や消費カロリーなどのデータは、公民館など市内26カ所の「健幸スポット」で専用サーバーに記録可能だ。筋肉量や骨量が分かる体組成計と血圧計があり、この測定値も記録される。グループ会社2社はメンテナンスやデータ管理などで支援する。経費は数億円に上るという。

 タニタが旧仙北村に工場を開設した1973年以来、大仙市は同社の生産拠点。今回の申し出は、半世紀近い歴史の積み重ねがあったからこそだ。

 市は事業推進のための担当部署を新設したほか、福祉や運動分野などの施策に健康づくりの視点を取り入れていく方針。地域に根付いた企業の厚意に応えるためにも、着実に成果を出してもらいたい。

 市の国民健康保険加入者の状況を見ると、2019年度のメタボリック症候群該当者は男性34・8%、女性12・2%で、いずれも県平均を上回る。メタボは生活習慣病の危険性を高めるだけに改善は急務だ。

 同年度の1人当たりの医療費は37万4千円で、5年間で7万円近く増えた。高齢化の進行と行政の財政負担を考慮すれば、疾病予防による医療費抑制は避けて通れない課題である。

 健康づくり事業はこうした課題の解消に向けた試みだ。活動量や体調変化の「見える化」は市民が自らの健康に気を配る第一歩となる。各種データを保健師や管理栄養士らの指導に反映させれば、健康の維持や増進につながるだろう。医療機関とデータを共有できれば、より適切な治療に結び付き、結果として医療費が抑制される可能性もあるのではないか。

 鍵を握るのは多くの市民の参加だ。活動量計の市民への貸与数は今のところ約7千個。寄贈予定の8万2千個とはまだまだ開きがある。事業の周知徹底はもちろん、健康指導の充実や関連イベントの開催、冬場も運動できる環境の整備、利便性向上のための健幸スポット増設などを通じ多くの参加を促したい。

 健康寿命の延伸は国を挙げた取り組みだ。「健康寿命日本一」を目標に掲げる本県は官民一体の県民運動を展開、各市町村もさまざまな事業を行っている。健康に暮らす人が多いほど、地域に活気が生まれるはずだ。タニタの全面協力を追い風に、大仙市には健康長寿のモデルとなる地域づくりを期待したい。

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