北斗星(12月2日付)

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 秋田市の大型店ではクリスマスプレゼントの下見に交じり、小学生のランドセルを求める家族連れが目に付く。ただ最近は夏頃までに購入する家庭が増え、商品によってはもう完売したものもあるそうだ

▼かつては赤と黒が定番だった。今では実にカラフルで、素材やデザインもさまざま。学校でよく使うA4サイズのファイルを収納できる大きさであることも特徴の一つ。しかし大きい割に驚くほど軽い。各社の工夫やこだわりがうかがえる

▼少子化にもかかわらず、高品質、高価格帯のランドセル市場は活況を呈している。裕福なシニア層による「孫消費」が支えているからだという。一方で少子化は進み、県内では来年3月で13の小学校が閉校する

▼その一つが横手市十文字町の睦合小学校だ。今年で創立から145年。晴れた日には鳥海山がすっきり見渡せる田園地帯にあり、全校児童79人が学んでいる

▼閉校式典の様子が先日、紙面で紹介されていた。6年前の夏に市内の酪農家による出前授業を取材したことを思い出した。1年生の男子が搾乳に挑戦。初めはおっかなびっくりだったが、母牛の乳房に触れて温かさに安心したのだろう。次第に表情がほころんでいった

▼児童に「うれしいことは何?」と問われた酪農家の答えが心に残る。「子牛が生まれた時。生命の誕生が一番うれしい」。ランドセルを背負っていた当時の1年生も今は中学生。あれから命について考える機会を重ね、成長しているはずだ。

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