社説:臨時国会閉幕 感染対策の議論継続を

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 臨時国会は昨日、事実上閉幕した。新型コロナウイルス感染の拡大が続いており、その対策に関する国会での議論が不可欠だ。にもかかわらず野党の延長申し入れは与党などに否決された。感染ピークが見通せず、医療の逼迫(ひっぱく)も懸念される中で国会を閉じるのはあまりに無責任と言わざるを得ない。

 菅義偉首相は昨夕の記者会見で、コロナによる感染者数、重症者数が過去最多の水準が続くことに触れ「強い危機感」を表明。さらに「国民の命と暮らしを守る」と強調した。

 その一方、会見で多くの時間が割かれたのは、今後の政府の経済対策や成長戦略についてだった。規模も多額であり、本来ならば国会の場でこそ語られるべき内容ではなかったのか。

 臨時国会が始まった10月26日に計約9万8千人だった国内感染者が、今月3日に同15万6千人と1カ月余りで6万人近く増えている。菅首相が述べた通り重症者の増加も深刻だ。

 しかし政府の観光支援事業「Go To トラベル」は一部地域を除いて継続されており、来年6月ごろまで延長する方針も示されている。政府の対応にはより慎重さが求められる。

 トラベル事業は大阪市や札幌市など感染拡大地域に限定して見直しが図られたが、専門家や地方自治体の声に押されて重い腰を上げたといった印象がある。東京都と政府の対立が続き、対応が立ち遅れたのはお粗末だった。

 立憲民主党など野党は新型コロナ特別措置法の改正案を国会に提出している。都道府県知事の緊急事態宣言に関連する権限を強めることが柱。権限の在り方は明確に整理する必要があり、特措法改正案も含めて検討を急ぐ必要がある。

 第3次補正予算案が編成中で新型コロナのワクチン接種体制を整える予防接種法改正など重要法案が成立。とはいえ行うべきコロナ対策の議論を残して国会を閉じるのはマイナスだ。

 与党が延長に応じなかった背景には、安倍晋三前首相の「桜を見る会」を巡る疑惑もあるとみられる。東京地検特捜部は安倍氏本人に事情を聴く方向とされる。安倍氏の首相当時の答弁が結果的に偽りだった可能性がある。野党のみならず与党側も安倍氏に説明責任を果たすよう求めるべきだ。

 臨時国会では日本学術会議の会員任命拒否問題で菅首相は野党から厳しい追及を受けた。しかし会員候補6人の任命拒否の理由について筋の通った説明は行われていない。

 疑惑や問題の真相解明や説明責任は果たされず、コロナ対応の議論は不十分―。菅政権として初の論戦の場となった国会がこのような終わり方では残念だ。衆参両院の閉会中審査で感染対策の議論を継続することはもちろん、今後は記者会見の機会を増やすなど、菅首相には丁寧な説明に努めてもらいたい。

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