乗り鉄日和特別編~岩手県営の奇跡と文庫Xの伝説 三陸鉄道への道【動画】

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 岩手県沿岸部を南北に貫く三陸鉄道(三鉄)は1984年、国鉄宮古線、盛(さかり)線、久慈線などを引き継いで開業した第三セクター鉄道だ。赤字続きだった路線を引き継ぎながら、経営努力などが実り開業からしばらくの間は黒字経営を実現、全国各地に三セク鉄道が生まれる機運を作り出した。2019年には、東日本大震災で大きな被害を受け運休中だったJR山田線の一部(宮古~釜石間)を引き継ぎ、全長163キロと三セク鉄道で日本一の長さを誇るようになった。

 秋田県内にも、由利高原鉄道(旧矢島線、1985年開業)、秋田内陸縦貫鉄道(旧阿仁合線、旧角館線など、86年開業、89年全線開通)があり、少子高齢化などさまざまな悪条件の中、奮闘を続けている。これらの路線を応援したいという思いを込めて連載「乗り鉄日和」を始めた筆者ではあるが、同時に三セク鉄道の“先輩”である三鉄にもいずれは足を運びたいと思っていた。幸い、三鉄に秋田県出身の社員がいることもあり、今回、晴れて三鉄の乗り鉄旅が実現した。ただ、秋田市から三鉄にたどり着くまでも結構かかる。今回は番外編として、三鉄にたどり着くまでの道のりを描いていきたい。
(取材・鎌田一也)

盛岡駅2番ホームで待機中の宮古行き快速リアス=11月9日午前10時54分ごろ


 秋田市から三陸鉄道を鉄路で目指す場合、主に2通りのルートが考えられる。どちらを選ぶにせよ、秋田~盛岡間は秋田新幹線で移動するのが常道だ(他にもルートはあるが、時間がかかりすぎる)。盛岡駅からは、東北本線、釜石線経由で釜石駅に向かうルート(快速「はまゆり」が走っている)と、山田線経由で宮古駅に向かうルートに分かれるが、どちらを選ぶかは、三鉄の中のどこの駅を目指すかによって使い分ければいいだろう。今回、筆者は、山田線経由を選んだ。

 11月9日、筆者は秋田駅を午前6時8分に出発する始発の「こまち6号」に乗り込んだ。もう何度目の乗車になるか思い出せない。以前は秋田~大曲間で、進行方向と反対側を向いた座席に座るのが嫌でたまらず、無理矢理座席の向きを変えたり、大曲駅まで立ったまま乗車したりしていた筆者だが、今では「後ろ向き」乗車もあまり気にならなくなった。慣れというのは怖いものだ。座席ぐらいなら大した問題ではないが、他のことではあまり後ろ向きにはなりたくないな…。

東北新幹線「はやぶさ」と秋田新幹線「こまち」の連結作業=午前9時46分ごろ


 午前7時35分、盛岡駅に到着した。盛岡駅では、東京駅まで一緒に走る東北新幹線「はやぶさ」との連結作業を安全に行うため、列車は3回停車した後にドアを開く。秋田から乗車してきた客は、この連結作業を見ることはできないが、ホームの柵に「柵から離れて見学ください」と書かれているほど、鉄道ファンには人気の場面だ。今回、盛岡駅から宮古駅へ向かう列車への乗り替えまでに十分な時間が取れたため、後ほど連結作業を晴れて見ることができた。テレビ番組で見たことはあったが、こうした作業は何度見ても飽きることはない(そう思うのは鉄道ファンだけかもしれないが)。

盛岡駅に到着した「いわて沼宮内」行き。通勤・通学客でごった返していた=午前7時47分ごろ


 盛岡を訪れた際、筆者が立ち寄りたいと思った場所が2カ所あった。一つは東北新幹線開業に伴い、JRから経営が分離された東北本線を引き継いだ三セク鉄道会社「IGRいわて銀河鉄道」(盛岡~目時間、82キロ)の青山駅だ。同社の本社があり、鉄道ファンに人気の「鉄印帳」の鉄印を受け取れる場所だ。盛岡駅の隣駅で、近くに高校もある。筆者が乗車した午前7時53分発の列車(いわて沼宮内行き)は、東北本線から直通の列車(一ノ関発)ということもあり、4両編成にもかかわらず、車内はごった返していた。列車は4分後に青山駅に到着、スーツや制服を身にまとった客が続々と下車していた。

岩手県営体育館=午前8時8分ごろ


 鉄印受付開始は午前8時半。まだ時間もあるため、筆者の思い出の地を訪れてみた…というのはうそで、思い出の地を訪れる時間を捻出したくて、わざわざ早起きして始発に乗ってやってきていた。思い出の地とは、青山駅から徒歩5分ほどの場所にある「岩手県営体育館」。秋田ノーザンハピネッツがまだbjリーグに所属していた当時、ライバルとして何度も激闘を繰り広げてきた岩手ビッグブルズの本拠地として使われていた会場だ。特に、2012~13シーズンのプレーオフの「岩手県営の奇跡」、13~14シーズンのプレーオフの「岩手県営の歓喜」は筆者も現地で観戦。ともに忘れられない思い出である。

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