社説:豚熱感染防止 警戒怠らず対策徹底を

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 家畜伝染病「豚熱(CSF)」が国内で広がり、本県にも迫っている。農場内で1頭でも感染すると、全頭を殺処分しなければならなくなる。養豚農家には予防とともに、感染確認時のまん延防止に備えてほしい。

 豚やイノシシに感染するウイルス性の豚熱は2018年、岐阜市の農場で26年ぶりに確認された後、岐阜から東西に感染が拡大。今年9月27日までに11府県102の農場・と畜場で17万1千頭が殺処分され、養豚農家に大きな打撃となった。

 ウイルスを媒介する野生イノシシの感染は岐阜から東へ年間100キロペースで広がっている。9月には東北で初めて福島県で感染が確認された。来年にも本県で感染例が出ることが懸念される。県内ではこれまで野生イノシシ3頭が検査され、全て陰性だった。早期発見し対策を講じるには、行政が中心になり検査頭数を増やすべきだ。

 本県の18年農業産出額は豚が175億円で、コメの1036億円に次ぐ。東北で3位、全国で12位の養豚県だ。現在、82農場で26万6千頭が飼育されている。万が一まん延すれば農家だけでなく、食肉加工業者にも影響が及びかねない。

 農場では野生イノシシなどが入り込まないよう防護柵の設置を進めている。73農場が設置済みで8農場は年内、残り1農場は来年3月までに設置の見込みだ。本年度の野生イノシシの目撃頭数は180頭(今月3日時点)と過去最多になっており、柵の金網に破れがないかなど見回りを徹底してもらいたい。

 県内や隣県で豚の感染が確認されれば、国が本県全域をワクチン接種推奨地域に指定し、県が県内の全頭に接種する。農家からはもっと早い段階での接種を求める声もあるが、国は予防的な接種は原則認めていない。

 予防的接種を行うと、豚の体内にできた抗体が接種によるものか、感染によるものか分かりにくくなり、早期発見による感染拡大の防止が難しくなるという。だが現在の感染状況を踏まえると、こうした仕組みの見直しも必要ではないか。

 ただ、野生イノシシは感染対策が難しい。ワクチンは万能ではなく、豚に接種しても抗体ができない個体もある。接種は農家の負担が大きい。1頭当たり1回の費用は360円だが、大規模農家では年間数千万円に上るケースも出てくる。

 このため、日常的な感染防止対策が欠かせない。▽農場に出入りする人や車両の消毒▽豚舎ごとの作業服や靴の交換▽野生動物との接触防止▽食べ残しの餌を再度与える際は十分加熱―といった防止策を農家は徹底しなければならない。

 豚熱は人に感染しないという事実について消費者の理解を深めることも大切だ。感染した豚肉が市場に出回ることはなく、万一肉や内臓を食べても人体に影響はないとされる。感染が発生しても冷静に対応したい。

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