社説:好調、道の駅うご 集客効果を町内観光に

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 開業5年目を迎えた羽後町の「道の駅うご 端縫いの郷(さと)」が好調を維持している。新型コロナウイルスの影響で春先は客足が鈍ったものの、その後回復。売り上げは昨年度並みに持ち直した。来春には町による増築工事も完了する。地域の活力のけん引役としてさらに存在感を増すことを期待したい。

 駅は2016年7月、同町西馬音内の町役場近くに開業。施設は町が整備し、町の第三セクターが運営する。地元農産物や加工品、土産物などをそろえた直売所と、名物の冷やがけそばなどを提供する飲食コーナー、観光案内窓口を備える。

 本年度の直売所と飲食コーナーの売り上げは11月末現在で3億700万円と、前年同期比3%増。過去最高の4億600万円を記録した昨年度を若干上回るペースだ。

 同町には野菜や花卉(かき)、羽後牛など多様な農産物がありながら、それを一堂に集めて販売する場がなかった。優れた農産物を提供、PRする直売所が果たす役割は大きい。

 開業時80人だった直売所の出品会員は現在190人。直売所開設を機に加工品製造を始めた人もいる。道の駅は町の基幹産業である農業の活性化、6次産業化を推進する上で欠かせない存在に成長したと言える。

 来場者も年々増加し、昨年度は過去最多の76万7千人。本年度は11月末現在で54万1千人と、前年同期の水準近くに回復している。町外からのリピーターが多いのは、直売所の出品物や飲食コーナーの新メニュー開発などが評価されているとみられる。来春完成の増築部分には、そば打ち体験スペースなどが設けられる。「食」を前面に出し、さらに魅力を高めてほしい。

 道の駅自体は好調だが、その一方で課題も見えてきた。昨年の町全体の観光客は約95万人。道の駅の来場者が8割を占める計算だ。開業前は年間の観光客が20万~30万人台で推移しており、道の駅の集客力は際立っている。ところが16~19年の道の駅以外の観光客数に増加傾向は見られない。道の駅を訪れた人の多くが、そのまま町外に流れてしまう現状は残念だ。

 国指定重要無形民俗文化財「西馬音内盆踊り」をはじめとする伝統芸能や、冷やがけそばといった食文化、かやぶき屋根のある民家と里山の風景、商家の街並みを残す町中心部、350年の歴史を持つ朝市―。町には多くの観光資源がある。これらを最大限活用するため、町は道の駅来場者を町内各地に誘導する方策を講じる必要がある。

 近年は町民による農家民宿や郷土食を提供する食堂のオープン、観光ガイド組織の立ち上げなど誘客に向けた動きも出てきた。住民の協力を得ながらハード、ソフト両面で検討を重ね、町内観光の魅力向上を図るとともに、抜群の集客力を誇る道の駅を町内観光の玄関口として磨き上げてもらいたい。

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