北斗星(12月13日付)

お気に入りに登録

 「売れ行きよいレコード ステレオ・ブーム」。そんな見出しの記事を1961年5月の本紙に見つけた。ステレオ再生装置が家庭に普及し始め、レコード需要がモノラル盤からステレオ盤に切り替わりつつある状況を伝えている

▼「将来はほとんどステレオに変わるでしょう」。記事には秋田市内のレコード店員のコメントも。高度成長期、娯楽向け電化製品にお金をつぎ込めるようになりだした表れだろう

▼新しい技術や発想で生まれ、需要をつかむ「ヒット商品」は多くが生活を豊かにする。時代の象徴でもある。ブームが去って消える物もあれば改良を重ねて進化する物もある

▼一方で新型コロナウイルスに揺れた今年は、思いがけない日用品の需要が急増した。輸入や生産が追い付かず入手困難にもなったマスクだ。本紙連載「今年のヒット商品」の一つ。品不足が一段落するとデザインも多様化した。国内の市場規模は昨年の12倍になる見込み

▼マスクと共に、コロナ対策に寄与しているヒット商品がウェブ会議システムだ。パソコンなどの画面を通じて会話でき、会社員の在宅勤務、学生の遠隔授業のほか「オンライン飲み会」と広く利用される

▼ただ、ヒットとはいっても違和感も残る。人に近くで接し、じかに授業を受け、飲食しながら会話できる社会の回復が皆の願いだろう。コロナの収束と共に、かつて人々の心を浮き立たせたステレオのような商品が話題になる平穏な状況の到来を待ち望みたい。

秋田の最新ニュース