社説:病弱教育の推進 誰もが学べる支援重要

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 秋田市の秋田きらり支援学校は「病弱教育」の推進に力を入れている。病気による入院や自宅療養のために通学できない児童生徒の学習だけでなく、心理面や復学の支援まで行う取り組みだ。病気に応じて子どもや保護者の要望は多岐にわたる。誰もが等しく学べるよう、きめ細かいサポートが求められる。

 病弱教育は、心臓病や腎臓病といった慢性疾患、小児がん、心身症、身体虚弱などが原因で長期の医療を要し、生活を制限される児童生徒が対象。県教育委員会によると、慢性疾患などで医療が必要な県内の小中高校生は毎年千人程度とみられる。

 県内には病弱教育を専門とする特別支援学校はない。児童生徒が在籍する学校の教員による支援が難しいことや入退院を繰り返すこと、感染症対策などを理由に十分な学習支援を受けられない状況が続いていた。

 学習の遅れや空白を解消するため、きらり支援学校は2016年から独自に「病弱教育アドバイザー」と「病弱教育コーディネーター」を1人ずつ配置。全県の幼児から高校生までを対象に家庭や在籍校、病院との連絡調整、相談を行ってきた。

 今年4月にはきらり支援学校教員3人を加えた計5人体制で「病弱教育サポートセンターきらり」を校内に開設。現在、20人程度の支援を行っているが、全県を対象とするには限界がある。今後一層の機能強化を図ってほしい。

 病状や入院期間など、子どもの状況はさまざまだ。センターは個々のニーズを把握し、病院の主治医とも連携しながら学習計画を作成。教員3人が在籍校と協力し、学習支援を進める。治療や療養生活への不安を取り除く取り組みも行っている。

 復学への道筋をつける支援も特徴の一つだ。在籍校や友達との関係が希薄にならないよう、タブレット端末を配布して在籍校の様子を映像で見られる態勢を整えている。退院の際は在籍校の教員と主治医、保護者が参加する会議を開き、スムーズに復学できるよう支援している。

 秋田大の大学院教授や学生らでつくるボランティアの人材バンクとも連携。ボランティアの依頼窓口をセンターに一本化し、児童生徒の要望に応じて学習を支援してもらっている。人材バンクの一層の周知を図り、利用を促進したい。

 一方、高校生の場合、通学できない期間が長期化すると留年や退学につながる例もある。学習支援を、通常の授業に準じた扱いにできないだろうか。

 病気になっても児童生徒は学習意欲を失うわけではない。支援を受けることで勉強の遅れに対する不安を解消できれば、自信を失わずに強い気持ちで病気に立ち向かえるだろう。

 在籍校もセンター任せにせず、支援を必要とする児童生徒への関わりを強めるべきだ。センターを核として、病弱教育が普及することを期待したい。

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