社説:県内企業資金繰り きめ細かな支援不可欠

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 新型コロナウイルスの感染拡大が長引き、県内の事業者が苦境に立たされている。中でも飲食・宿泊業は厳しい状況が続いており、年末の資金需要に対して金融機関は例年以上にきめ細かに対応してもらいたい。併せて、コロナ時代を見据えた経営改善や持続可能な事業への転換なども後押しする必要がある。

 日本銀行の2020年度の全国の売り上げ予測によると、中小企業が前年度比で22%減となり、大企業の8・8%減を大きく上回っている。業種別では「飲食・宿泊・対個人サービス」の減少が突出しており、ほぼ半減となる見込みだ。

 東京商工リサーチの県内企業アンケートでは、忘年会や新年会の開催を見送る所が8割以上に上る。年末年始の書き入れ時だけに、飲食店や宴会場などに与える打撃は大きい。

 県内の宿泊業を見ると、政府の観光支援事業「Go To トラベル」が全国で一時停止になったため、年末年始の予約にキャンセルが出ている。観光業は裾野が広く、運輸交通をはじめ、食材や飲料を提供する事業者、クリーニング業、土産物の販売店などにも影響が出ることが予測される。

 懸念されるのは、これら業種を中心に手元資金が不足することだ。こうした状況をにらみ、事業者向け実質無利子・無保証料の融資について、県は今月末だった申請期限を来年3月末まで延長。日本政策金融公庫は実質無利子・無担保融資の申請期限を、来年3月末から来年前半まで延ばした。感染収束が見通せない中、資金繰り支援に万全を期してほしい。

 自治体や金融機関の資金繰り支援策などを活用済みの県内企業は、11月時点で7割近くに上るとみられる。感染拡大がさらに長期化すれば、支援を受けた企業が再び資金不足となる恐れもある。こうした事態を回避するためには円滑な資金供給などが不可欠だ。

 例えば日銀は、企業支援策の期限を来年3月末から同9月末へと半年間延長した。中小企業などに融資する金融機関に対して、無利子で資金供給する仕組みだ。融資実績に応じて事実上の補助金も出し、企業への貸し出しを促すという。

 県内では、企業のメインバンクは秋田、北都の両銀行で全体の8割超を占めるとされる。両行をはじめとする金融機関は地域経済を守るため、今後も前向きな融資を継続してほしい。

 新型コロナに伴う需要低迷では高齢の経営者による廃業が増える懸念も拭えない。資金繰りの際、金融機関は経営者との情報交換を細やかに行うなどして事業継承を模索してほしい。

 ただし忘れてならないのは、有利な融資であっても事業者にとっては返済しなければならない借金ということだ。金融機関はもちろん、事業者も経営状況を精査し、経営改善を進める意識を持たなければならない。

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