社説:国政この1年 コロナ対策、後手に回る

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 今年の国政は新型コロナウイルス感染拡大への対応に追われた。そんな中、安倍晋三前首相が持病の悪化を理由に突然退任。安倍前政権の官房長官だった菅義偉氏が首相に就任した。

 菅政権は安倍前政権同様に感染防止と経済活動の両立を目指している。だが経済優先の姿勢が目立ち、感染防止策は後手に回ったことは否めない。その反省を踏まえ、感染拡大に歯止めをかけなければならない。

 国内で初の感染者が確認されたのは1月中旬。さらにクルーズ船で集団感染が発生した。全国の小中高校などは3月から急きょ一斉休校。東京五輪・パラリンピックが来夏に延期されるなど影響は広がる一方だった。

 政府は4月に東京、大阪など7都府県に緊急事態宣言を出し、その後全都道府県に対象を拡大。都道府県は住民に外出自粛要請などを行った。

 コロナ禍は2008年のリーマン・ショック後を超える景気後退をもたらした。政府は、国民の生活支援として全国民に一律10万円を支給する特別定額給付金、中小企業などを対象とした持続化給付金などの緊急経済対策を実施。支給が遅れるなどの問題も相次いだが、一定の効果を上げたと言えるだろう。

 9月の自民党総裁選には3人が立候補。安倍前政権の継承を掲げた菅氏が圧倒的な支持を得て当選した。デジタル庁創設や携帯電話料金引き下げなどの政策を打ち出している。だが最大の課題はコロナ対策だ。

 夏場の感染「第2波」は国民の自発的な協力もあって乗り切ることができた。「第3波」では、対策を呼び掛けても東京などで人の動きが減らなかった。感染拡大は続いており、実効性のある対策が急がれる。

 焦点になったのが、菅首相が官房長官時代から旗振り役を務めた観光支援事業「Go To トラベル」。観光旅行を促す事業が、感染防止に対する国民の緩みにつながったと指摘された。政府分科会の専門家も事業の一時停止を繰り返し訴えた。

 菅首相が一時停止の決断に追い込まれたのは12月中旬。同時に年末年始を静かに過ごすよう国民に呼び掛けた。経済再生を優先した結果、後れを取ったと言わざるを得ない。

 コロナ禍の影響は観光や飲食業界で特に大きく、支援策は必要だ。だが感染拡大で医療崩壊の危険をこれ以上、高めてはならない。そんな事態になれば経済への悪影響は一層大きくなることもあり得る。感染拡大防止に軸足を置きながら雇用や生活を守る対策を講じるべきだ。

 コロナを巡る不手際もあり、内閣支持率は急落した。しかし対抗する野党の影は薄い。旧立憲民主党と旧国民民主党などが合流し、新たな立憲民主党が誕生したが、政党支持率は伸び悩んでいる。コロナや安倍前首相の「桜を見る会」を巡る問題などで政府に厳しく対峙(たいじ)し、存在感を発揮しなければならない。

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