社説:新年を迎えて コロナ乗り越える年に

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 新型コロナウイルスの感染拡大が国内外で沈静化する気配が見えない。コロナを乗り越えることができるかどうかが問われる一年となる。

 国内は「第3波」で死者と重症者が増加。医療体制が逼迫(ひっぱく)し「命」を支える仕組みが揺らいでいる。企業の倒産や解雇、雇い止めも相次いでおり、特に飲食業の倒産が目立つ。

 感染拡大を封じ込めつつ、経済をどう再生させるか。それが今年も菅義偉首相の最重要課題となる。ただし経済再生の前提は、国民一人一人の「命」を守り抜くことだ。

 そのためには医療体制を盤石にする必要がある。現場ではコロナ患者用病床の多くが埋まり医療従事者の負担も大きい。コロナ患者以外の手術延期や一般病棟一部閉鎖など通常医療との両立が難しくなっている。

 医師、看護師ともに不足しており、疲弊する現場への支援は金銭面だけではもはや追い付かない。医療従事者らを確保する仕組みづくりを早急に整えるとともに、感染症対策の教育も含めた人材育成を政府の責任で進めなければならない。

 米国などでは既にワクチンの接種がスタート。日本では今年、ワクチンが実用化される見通しだ。現段階で過度の期待は禁物だが、国民にしっかりと行き渡る体制を政府には整備してもらいたい。

 今夏の東京五輪・パラリンピックをにらむ菅政権は、どこまで経済活動を活発化させるのかという難しい判断を迫られる。経済活動を重視し過ぎて感染防止対策を緩めれば感染は急速に拡大する。それが「第3波」から得られた教訓だ。

 それだけに政府はこれまで以上に専門家の意見に耳を傾けなければならない。その上で各地域の感染状況を判断し、自治体と十分協議して個々の実情に応じた必要な措置を講じるべきだ。経済再生を焦れば、さらなる感染拡大を招きかねない。

 今年は秋までに衆院選が行われる。コロナ対策と経済再生が争点になるだろう。有権者にとっては菅政権の一連の取り組みをチェックする機会だ。「コロナ時代」の社会の在り方をどう描き、有権者に示すかが問われる重要な選挙でもある。

 菅首相は目指す社会像として「自助・共助・公助」を掲げる。だが感染拡大で明らかになったのは自助では事業や生活の継続が困難な人々の存在だ。政府は「公助」の重要性を認識し、こうした人たちにしっかりと手を差し伸べなければならない。

 コロナ時代などを見据え、菅首相は「デジタルとグリーン」を打ち出した。官民デジタル化をはじめ、洋上風力発電と電気自動車などの推進が柱。行政事務効率化と脱炭素化の実現が狙いだが社会像としてはいまひとつ、はっきりしない。ただし脱炭素化は国際公約でもあり、掛け声倒れに終わらせてはならない。

 外交面では菅首相は、バイデン次期米大統領との2月の首脳会談を目指す。信頼関係をしっかりと築き、対中国、対北朝鮮政策で連携する必要がある。特に香港では民主派への弾圧が強まっており、日本は欧米諸国とともに圧力を強めるべきだ。

 18日には通常国会が始まる。昨年の学術会議任命拒否問題で菅首相には強硬姿勢や説明不足が目立った。「説明できないことがある」などと言わず、さまざまな問題に正面から向き合い、国民に分かるよう意を尽くして説明するよう求める。

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