イザベラ・バードの足跡をたどる:特別対談 島田雅彦・平野啓一郎 情報のない旅を追体験

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平野啓一郎さん(左)と島田雅彦さん(右)

 現代日本を代表する人気作家の島田雅彦さん(59)と平野啓一郎さん(45)が昨年10月、3日間にわたり県内を旅した。明治初期に日本を訪れた英国人紀行家イザベラ・バードの秋田における足跡をたどりながら、本県の隠れた魅力を探るのが目的だ。旅の様子は「新あきた紀行」として昨年11月14日から連載中。ここでは特別対談として、両作家に今回の旅を通じて考えたことを語ってもらった。

 ◇  ◇

 ―島田さんは母方の祖母が八郎潟町出身ということで、これまでもたびたび本県を訪れていますが、平野さんは初の来県です。

 平野 個人的な話ですが、小学生の頃からプロ野球の落合博満さんにすごく憧れていたので、彼の出身地の秋田に大きな憧れを抱いていました。ロッテオリオンズのホームだった川崎市にもね。彼は偉大な選手であり、監督であり、その言動はしばしばバッシングされましたが、僕はいつも、とてもまともなことを言っていると思っていました。だから僕にとって秋田の最初のイメージは落合さんなんです。秋田はスポーツ選手をはじめ有名人がいろいろ出ていますし、大学時代も秋田出身の友人がいましたので、意外と身近に感じていたのですが、来る機会がなかなかありませんでした。

 島田 観光地とは程遠い田舎の道をひたすらたどる旅が、平野君の最初の秋田訪問になったわけだ(笑)。僕は物心ついて間もない頃、親戚の結婚式で初めて来ました。ほとんど記憶がないけれど、式で出た鶏肉が硬かったのだけはよく覚えている(笑)。僕の4分の1の血縁は秋田にあるわけですが、それとは関係ないところで、何度も秋田に来ました。目的も季節もさまざまで、山に入って山菜採りをしたこともありますし、男鹿の漁師宿に連泊し、調理場を借りてパエリアを宿の人に振る舞ったこともあります。とても気に入ってくれたので、レシピを書いて渡しました(笑)。来るたびに思うのは、豊かな土地ゆえか、みなさん、心に余裕があるんですよね。だから僕は秋田が好きなのかも。久しぶりに秋田弁を聞いて、祖母を思い出しました。

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