社説:電力の再生エネ化 県内企業も積極推進を

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 菅義偉首相が宣言した「2050年までの脱炭素社会実現」は、再生可能エネルギーの利用をいかに進めるかが鍵を握る。県内企業もこの目標実現に向けて動き始めた。

 北都銀行は50年までに本部や本店、支店の使用電力を全て再生可能エネルギーで賄うと表明。国内の中小企業や団体が使用電力を再生エネに転換する意思と行動を示す全国的な取り組みに、県内から初めて参加した。

 「再エネ100宣言 RE Action(「アールイー・アクション)」と呼ばれ、国内電力需要の4割を占める中小企業の再生エネ利用を後押しするのが狙いだ。現在、100を超す企業・団体が加盟。再生エネによる発電が活発な本県としては、そうした電力の使用にも積極的に取り組みたい。

 再生エネへの転換に当たって北都銀は、東北電力の電力供給メニューなどを活用する。県営水力発電所が二酸化炭素(CO2)の排出ゼロで発電した電気を東北電が買い取り、現行料金に1キロワット時当たり2・2円(20年度分)の「環境価値」分を上乗せしたものを北都銀が購入する。

 電力小売会社・みんな電力(東京)のプランも利用。同社は、秋田、潟上両市にまたがる秋田潟上ウインドファーム発電所の電力を販売しており、北都銀は購入により再生エネの地産地消を推進する考えだ。

 今のところ、電力の調達コストはかかり増しとなる。ただし再生エネの利用が広がれば、コストの削減や技術革新、新たなビジネスモデルの創出にもつながる。この取り組みが県内の他企業に波及するかどうか注目されるところだ。

 再生エネの利用は、環境に取り組む企業の姿勢を消費者や投資家にアピールする材料にもなる。機関投資家の間では、環境や社会問題への取り組みを重視する「ESG投資」が拡大している。県内企業は、こうした動きも視野に入れておく必要があるのではないか。

 世界的な枠組みとしては、再生エネの利用100%を目指す国際企業連合「RE100」がある。米アップルや米グーグル、楽天、ソニー、イオンなど大企業が名を連ねている。

 アップルは18年4月に自社グループの「100%再生エネ」を実現したと発表。30年までに調達先の部材・部品メーカーでも実現する。楽天も自社の再生エネ利用を推進、楽天市場の出店店舗などの利用も支援する。

 今後、アップルや楽天のような取り組みが拡大し、県内にも波及してくる可能性がある。県内にも関連部品を製造している企業があることから、こうした動きを今から注視する必要があるのではないか。

 脱炭素社会への取り組みが企業価値を左右する時代の到来を受け、県内の企業も後れを取ってはならない。同時に県や市町村も使用電力の再生エネ化に取り組んでほしい。

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