北斗星(1月16日付)

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 文学ファン待望の時期が近づいている。今月20日の芥川賞、直木賞の選考会だ。読書離れが叫ばれて久しい今も注目度は高い

▼芥川賞の選考委員に名を連ねるのが作家の島田雅彦さんと平野啓一郎さん。毎週土曜日に本紙連載中の「新あきた紀行」の主役でもある。明治初期に日本を訪れた英国人紀行家イザベラ・バードの足跡をたどり、昨年10月に湯沢市から大館市まで3日間かけて縦断した

▼最初に訪れた湯沢市・院内銀山跡の金山神社に、平野さんは大いに刺激を受けたようだ。銀山が開山した江戸初期に創建され、今の社殿は約190年前に建てられた。かつて1万5千人が暮らした町も銀山閉山後に消滅した。雪深い冬に足を運ぶ人はいない。平野さんはそんな話を現地で聞いて想像を巡らせ、雪に埋もれ白っぽくなった神社の柱を見て驚いた

▼その観察力に驚かされる。柱の色など気に留める人はほとんどいないのに。作家の確かな目は地元の人が見過ごしがちな場所に光を当てる

▼バードが旅したように企画ではできるだけ羽州街道を通った。そのため、作家2人を案内したのは観光地とは懸け離れた普通の住宅街と山奥の道ばかりとなった。初めて来県した平野さんはどう感じただろうか

▼一方の島田さんは母方の祖母が八郎潟町出身だ。これまで何度も来県しており、ガイド本に頼らない今回の旅を自由に楽しんでいた。気ままに移動できない世の中は息苦しい。せめて紙面で旅の魅力に触れてほしい。

作家の島田雅彦さんと平野啓一郎さんが、イザベラ・バードの秋田での足跡をたどりました

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