北斗星(1月21日付)

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 世界的な農業地帯である米西部カリフォルニア州は太陽に恵まれているが、大地は乾燥している。それにもかかわらず街中に緑が多いことに作家の司馬遼太郎さんは驚いた。散水機やポンプを電気で動かし、植物に水を与えていると現地を訪れ知ったという

▼1980年代当時の主な電力源は石油。米つきバッタのような石油のくみ上げ機を見て「アメリカ素描」(新潮文庫)に書いた。「地球を食うことによって全世界に食糧をくばれるだけの農業を成立させている」

▼ガソリンで車を走らせて灯油で暖を取る。洋の東西を問わず、人は石炭、石油を採掘し、燃やしてエネルギーに変えてきた。化石燃料の恩恵を受ける一方、大量の二酸化炭素(CO2)を大気中に吐き出してきたのも事実だ

▼温室効果ガスであるCO2により大気温度は上昇。温暖化は暴風雨や干害などの異常気象を招き、農業、漁業にも悪影響を及ぼす。司馬さんの言う「地球を食ってきた」代償は大きい

▼米新大統領バイデン氏は化石燃料による温暖化を「現実の脅威」と受け止め、太陽光や風力など再生可能エネルギーにかじを切る。温室ガス削減は国益にならないとパリ協定を離脱したトランプ大統領とは正反対だ

▼日本では菅義偉首相が、2050年までに温室ガスの排出を実質ゼロにすると表明した。日米トップが掲げる温室ガス排出ゼロの達成時期はどちらも約30年後。息の長い目標だ。政権やリーダーが変わってもこの政策は維持したい。

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