イザベラ・バードの足跡をたどる:平野啓一郎(3)短くも壮大な旅路

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矢立峠を歩き、秋田と青森の県境に到着して笑顔を見せる平野さん(左)と島田さん

 私は愛知県生まれで、その後、北九州市で育ち、大学入学後は十年間ほど京都で暮らしたという人間だったので、東北に何かと縁が出来たのは、東京に住み始めてからのことだった。そのせいで、真冬に一メートルを超すような積雪のある生活が、根本的にわかっておらず、十月初旬の今回の旅でも、地元の人に随分と間の抜けた質問をした気がする。湯沢市を訪れた時には、「あの辺まで積もりますよ。」と、見上げるような高さを指差されて唖然としたが、その隣の横手で、年始から観測史上最大の降雪が記録されたという報道を東京で見て、改めて目を丸くし、心配した。

観測史上最大となる積雪193センチを記録した横手市の街並み(2021年1月11日撮影)

 真夏に秋田を旅したバードは、勿論、雪は経験していないが、冬に滞在したならば、その旅行記も全く違ったものとなっていただろう。彼女の記録を読んだイギリス人たちは、秋田に雪のイメージを一切持たなかっただろうが、それはやはり、この土地の理解としては大きな欠落ではあるまいか。

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