北斗星(1月28日付)

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 「首相の一日」に「報道各社のインタビュー」と記載されることがある。政治の大きな節目に開かれる記者会見とは異なり、菅義偉首相が官邸などで歩みを止め、番記者の問い掛けに答えたときにこう記される。「ぶら下がり」と呼ばれる取材対応だ

▼やりとりはわずか1分前後。その語り口や表情から首相の胸中や体調の良しあしが垣間見えることがある。国のトップが時々の課題にどう向き合うかを国民に向けて発する意義は大きい

▼この方式を取り入れたのは、2001年4月から5年半近く首相を務めた小泉純一郎氏だ。毎日2回、記者らと対峙(たいじ)した。国民に政策の中身を直接説明する狙いがあったそうだ。この積み重ねが高い人気と発信力につながった

▼11年の東日本大震災を機に連日のぶら下がりは途絶えた。現在は記者会から要請があった場合にのみ行われている。受けるのも断るのも首相次第だ

▼新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の再発令から3週間。菅氏は「1カ月後には必ず事態を改善させる」と強調していた。宣言解除の見通しはどうか。ワクチンは安全か。変異種への対応は万全か。疑問は尽きない

▼菅氏は最近、頻繁にぶら下がりに応じている。日によっては2回対応したこともある。ここはいっそのこと、要請の有無にかかわらず10年ぶりに毎日やってはどうか。コロナ禍にあえぐ人たちの不安を少しでも和らげるには、棒読みではない血の通ったリーダーの言葉が必要だ。

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