社説:県21年度予算案 事業効果の議論深めよ

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 県は2021年度一般会計当初予算案を発表した。総額は5622億円で、前年度比172億円(3・0%)の減少。4月に知事選を控え、新規事業を極力控える「骨格予算」とした。新型コロナウイルス感染症対策は国の20年度第3次補正予算を受け、追加で予算化する。

 佐竹敬久知事の県政運営指針「第3期ふるさと秋田元気創造プラン」は21年度が最終年度。新型コロナの感染拡大で、県民生活や経済の状況は激変している。各事業が社会の変化や時代のニーズをしっかり捉え、県勢発展や暮らしの改善につなげられるかが問われる。厳しく事業効果を見極めることが必要だ。

 3期プランで重点を置く「ふるさと定着回帰」「産業振興」などの6分野に3割超の約1900億円を配分した。継続事業が大半だが、早期実施が必要と判断し新規事業として打ち出したものもある。人口減対策、産業政策を重視する佐竹カラーがうかがえる予算案だ。

 人口減対策を中心とする「ふるさと定着回帰」には212億円を充当。Aターンや高校生の地元就職の促進策に加え、コロナ禍で普及したリモートワークを活用する移住の支援策を盛り込んだ。

 リモートワーク移住支援は県外企業が試行的に社員に体験させる場合、100万円を上限に費用を助成。実際に移住した社員には家賃、レンタル事務所経費、本社への交通費などを3年間で最大220万円助成する。

 大都市部を中心とする感染拡大を機に、首都圏への一極集中を見直す機運が高まっており、本県にとっては好機と言える。一日も早く実績を上げ、新たな移住の形として定着させたい。支援策が効果を上げられるか、県議会で議論を深めてほしい。

 「産業振興」では自動車、再生可能エネルギーといった産業の育成などに509億円を充てた。自動車関連では県内企業の今後の方向性を探るため、約160社を対象に調査を行う。数少ない新規事業の一つだ。

 政府は脱炭素社会を目指し、35年までに乗用車の新車販売を全て電動車に切り替える目標を掲げる。このため、エンジン関連部品などを製造する県内企業は構造転換が必至とみられる。それに対応した企業支援の在り方を考える上で、重要な調査となる。調査後の新たな支援の取り組みも含め、県にはスピード重視の姿勢を求めたい。

 このほか、22年度に市場デビューする新品種米「サキホコレ」のPRや、今年4月に始まる東北デスティネーションキャンペーンの経費も計上。コロナ禍のため、多くの人を集めるコメの試食会開催、団体観光客の誘致など、従来の手法は困難な可能性もある。狙った効果を上げるためにどんな工夫を凝らすか、十分な県の説明が必要だ。

 2月県議会は1日に開会する。議会側からの積極的な政策提言も期待したい。

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