社説:コロナアプリ障害 失墜した信頼、回復急げ

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 国の新型コロナウイルス対策の重要ツールにしては随分お粗末だ。スマートフォン向け接触確認アプリ「COCOA(ココア)」で陽性者との接触通知が利用者に届かない障害が判明した。昨年9月下旬から4カ月間、全利用者の約3割が使うアンドロイド端末で起きた不具合で影響は深刻だ。

 陽性者と濃厚接触した可能性があっても、ココアの不具合で通知が届かないのは重大な障害だ。このため陽性者との接触をいち早く知る機会を逃した利用者がいたかもしれない。

 国の推奨に応えたココア利用者の信頼を裏切った責任は極めて重い。失われた信頼の回復に国は全力を挙げて取り組まなくてはならない。

 ココアはスマホの近接通信機能を利用し、陽性者と濃厚接触した可能性を通知する。アプリをダウンロードしたスマホ同士が15分以上、約1メートル以内にあった場合が接触とされる。検査で陽性と分かった人が手続きすれば2週間以内に接触したスマホを通じて利用者に通知される。

 これまでココアは約2460万件がダウンロードされた。このうちアンドロイド版は約770万件。このほか米アップルのiPhone(アイフォーン)版もある。陽性登録は計1万人超あった。

 障害の原因となったバージョンアップから4カ月間、厚生労働省はなぜ不具合に気付くことができなかったのか。そこにこそ大きな問題がある。

 障害の原因となったプログラムミスは11月末時点で、インターネット上で指摘されていた。さらに年末以降は会員制交流サイト(SNS)で不具合が話題となり、業者が調査を開始していた。一方、厚労省が事態を把握したのは今年1月。「対応は開発業者に委託」との姿勢ではあまりに無責任ではないか。

 バージョンアップ時の動作試験は「濃厚接触があった」との情報を直接ココアに送って実施しただけ。模擬的なテストだけで、スマホから利用者に接触通知が届くかどうかを確かめていなかったのは大きな手抜かりといえよう。

 ココアは利用者が増えなければ感染拡大防止の効果を上げるのが難しい。つまり国民の信頼と協力をなくしては役立つツールにならない。その土台が揺らいでしまったのは残念だ。

 不具合を長期にわたって放置していた厚労省の対応は、政権の掲げるデジタル化推進の看板も傷つけた。菅義偉首相には「徹底調査して対応するのが私の役割だ」との国会答弁の通り、厳しい対応が求められる。

 厚労省はココアの作動状況などを確認するための専門家を増員する一方、今月中旬にも不具合を解消するとしている。アプリの改善対策はもちろんだが、原因や責任の所在を明らかにした上で再発防止策を示すべきだ。それなくしては失墜した信頼の回復は到底かなわない。

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